近年、改葬という言葉を耳にする機会が増えています。改葬には様々な理由や手続きが伴い、理解すべきポイントが多くあります。
本記事では、その背景や詳細な手順、関連する費用について詳しく解説します。
改葬とは、故人の遺骨を現在のお墓から別の場所に移すことを指し、お墓の「引っ越し」や「移転」にあたります。
改葬には、遺骨だけを移動する場合もあれば、お墓そのものや墓石を一緒に新しい場所へ移す場合もあります。改葬が行われる理由は様々で、家族の事情や環境の変化、また故人の遺志を尊重するために決定されることが多いです。
改葬の方法にはいくつかのパターンがあります。例えば、以下のパターンなどです。
改葬には費用や手続きが必要となるため、事前に十分な準備と確認を行うことが大切です。
改葬は近年増加傾向にあり2023年には、改葬件数が16万件を超えました。(※1)時代とともに家族のあり方やお墓に対する意識が変わり、様々な事情から改葬を選ぶ人が増えています。
以下では、改葬が増加している背景と、その必要性について詳しく解説します。
※1 引用元:令和5年度衛生行政報告例の概況
改葬が増えている大きな要因の1つは、家族構成の変化です。かつては長男が家を継ぎ、代々同じ土地で先祖のお墓を守るという形が一般的でした。
しかし、都市部への転居や仕事の都合で家族が散らばるケースが増え、お墓参りに行くことが難しくなっています。そのため、遠方にあるお墓を自宅の最寄りの場所に移して、より手軽にお参りができるように改葬を選ぶ方が増えています。
また、少子高齢化の進行も影響しています。お墓の継承者がいない、あるいは高齢の親族が墓参りや管理を続けるのが難しいなどの問題から、将来の管理負担を減らすために改葬や墓じまいを選択するケースが増えています。
改葬が必要になる理由は多岐にわたります。以下に代表的なものを紹介します。
管理の利便性:
自宅とお墓の所在地が離れていると、定期的なお墓参りや管理が難しくなります。特に高齢者にとっては遠方への移動が負担になることも多く、自宅近辺の場所にお墓を移すことで、より気軽にお参りできる環境を整えることができます。
後継者不足:
少子化や核家族化の影響で、お墓を管理する後継者がいない場合、無縁墓となるリスクがあります。そこで、永代供養墓に改葬し、管理を寺院や霊園に任せるケースが増えています。
永代供養墓でなら、管理や供養が継続的に行われるため安心です。
家族の事情や経済的理由:
家族の事情で遠方に引っ越した場合や、墓地の維持費が経済的に負担になる場合も、改葬の理由となります。例えば、墓地の維持費が高額な場合、納骨堂や永代供養墓への改葬は、管理負担を軽減するだけでなく、費用面の負担も減らすことができます。
その他の理由:
故人の遺志で特定の場所への埋葬を希望していた場合、あるいは宗教的な理由で別の墓地へ移す必要がある場合も、改葬が検討されます。
また、墓地の周辺環境の悪化や墓地自体が老朽化を理由に、移転を考えるケースもあります。
改葬は、故人への敬意を保ちながら、家族の負担を軽減するための選択です。家族の事情や未来を見据え、慎重な判断が大切です。
改葬と墓じまいは、どちらもお墓に関する手続きですが、その意味や目的は異なります。
それぞれの違いをわかりやすく解説します。
改葬は、故人の遺骨を現在のお墓から別の場所に移すことを指します。例えば、遠方にあるお墓を自宅近辺の墓地に移す場合などがこれにあたります。
改葬では、遺骨だけでなく、墓石や骨壺なども一緒に新しい場所へ移動させることが多いです。
改葬は、家族の生活環境の変化やお墓参りのしやすさを考慮した選択肢として選ばれることが多く、故人の遺志を継ぐために行われることもあります。
一方、墓じまいは、お墓を完全に撤去して更地にすることを指します。墓じまいを行う際には、遺骨を別の場所に移動させることが一般的ですが、それ以外にも散骨や永代供養墓に納めるなど、様々な方法があります。
墓じまいは、継承者がいない場合や経済的にお墓の管理が困難になった場合などに行われることが多いです。墓じまいを行い、お墓の使用権を管理者に返還し、将来の管理負担を軽減できます。
改葬を行う際には、現在の墓地を撤去する墓じまいの手続きが必要になるため、改葬の一部に墓じまいが含まれると考えるとわかりやすいでしょう。
しかし、墓じまいをしても新しいお墓を設けず、永代供養墓や散骨など別の供養方法を選ぶ場合は、改葬とは異なります。
改葬は「お墓を別の場所に移すこと」、墓じまいは「お墓を撤去し、使用権を返還すること」です。それぞれの手続きには異なる準備が必要になるため、家族や親族と相談しながら、故人への最適な供養方法を選ぶことが大切です。
改葬を進めるにはいくつかのステップがあります。事前に手順を把握するとスムーズに進められ、家族や関係者とのトラブルを防ぐことができます。
以下では、初心者にもわかりやすい改葬の流れを解説します。
改葬は家族全体に関わる重要な決断です。まず、親族や現在の墓地の管理者(寺院や霊園)に相談し、改葬の必要性や理由、新しい納骨先について合意を得ましょう。
場合によっては、先祖代々の墓を動かすことに対して親族が感情的な反応を示すこともあるため、慎重に話を進めることが大切です。
また、寺院墓の場合は、檀家契約が絡むため、改葬が檀家の脱退につながる可能性もあります。
次に、改葬先となる新しい墓地や納骨堂を決めます。新しい納骨先が決まっていないと、改葬の手続きを進めることができません。
決定後は、新しい墓地の管理者に「受入証明書」を発行してもらいましょう。この証明書は、改葬許可を得るために必要な書類の1つです。 受け入れ条件や費用も事前に確認し、見学に行くなどして納得のいく場所を選ぶと安心です。
現在のお墓がある自治体の役所で「改葬許可申請書」を入手します。必要な情報を記入し、埋葬証明書や受入証明書を添付して提出します。
改葬許可申請書の様式は各自治体で異なりますが、主な記入項目は以下の通りです。
故人の本籍や死亡年月日などはわかる範囲で記入し、わからない項目は「不明」または「不詳」と記入しましょう。改葬の理由は、「管理が困難なため」や「新しい墓地に納骨するため」など、改葬に至った理由を記入します。
自治体によっては手数料がかかる場合もあるため、事前に確認しておくと良いでしょう。
【関連リンク】
・さいたま市/改葬の手続き
・埋火葬許可証の交付|春日部市公式ホームページ
現在のお墓の管理者に埋葬証明書を発行してもらいましょう。この証明書は、現在の墓地に遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。
感謝の気持ちを伝えながら、正式に改葬の意思を伝え、協力を得るようにしましょう。
改葬許可申請書、受入証明書、埋葬証明書の3つの書類をそろえたら、役所に提出します。
自治体が審査を終えると、「改葬許可証」が発行されます。
この許可証があれば、正式に遺骨を移動させることが可能です。改葬許可証は無期限で有効ですが、できるだけ速やかに新しい墓所へ納骨するのが一般的です。
【関連リンク】
・改葬許可申請書 – 東松山市公式ホームページ
・改葬許可申請書 狭山市公式ウェブサイト
改葬許可証の発行後、現在の墓地で遺骨を取り出します。
まず、取り出す前に僧侶や神職を招いて「魂抜き」(閉眼供養)という儀式を行い、お墓に宿る魂を抜いてもらいます。魂抜きが終わった後、墓石を撤去し、遺骨を丁寧に取り出します。
新しい納骨先に遺骨を運び、納骨します。納骨の際には「開眼供養」と呼ばれる儀式を行い、新しいお墓に魂を宿らせます。この儀式をもって改葬は完了です。
改葬は複数の手続きが必要で、時間がかかる場合もあります。あらかじめ手順を確認し、必要な書類を準備して進めることで、スムーズに改葬を完了させることができます。必要書類に関しては、次章をご参照ください。
改葬の手続きは、準備する書類が多く、時間がかかります。事前に必要な手続きをしっかり確認し、早めに準備を進めることで、スムーズに改葬を行えます。
【関連リンク】
・墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
改葬を行うには、様々な手続きや移転先の費用がかかります。改葬費用はお墓の種類や立地、納骨先の形式によって大きく異なりますが、一般的な相場は100~300万円程度です。
以下に、改葬にかかる主な費用項目とその目安を解説します。
現在のお墓を撤去する際には、「墓じまい」の費用がかかります。墓石の撤去費用は、お墓の大きさや場所によって異なり、10~50万円程度が相場です。撤去作業には専門の業者が関わるため、費用は立地や作業の複雑さによって変動します。
改葬を行う際には、自治体に「改葬許可申請書」を提出するなどの手続きが必要です。この手続きにかかる費用は比較的少額で、数百円~3千円程度です。
また、受入証明書や埋葬証明書の発行に各数千円程度の費用がかかる場合もあります。
改葬では、お墓から遺骨を取り出す前に「閉眼供養」という儀式で、魂を抜く「魂抜き」を行います。
閉眼供養のお布施は3~10万円程度が一般的です。お布施の額は地域や寺院によって異なる場合があるため、事前に確認すると安心です。
また、菩提寺外にあるお墓に来てもらう場合は、御車代5千~1万円程度、会食に僧侶が参加しない場合は、御膳料5千~1万円程度を別途用意します。
離檀料とは、離檀する際に感謝の気持ちとして慣習的にお寺に渡すお布施のことです。
檀家となっており、改葬に伴いお寺との関係が解消される場合、離檀料の支払いが必要となる可能性があります。
離檀料の相場は寺院によって異なりますが、3~15万円程度が目安とされています。
新しい納骨先にかかる費用は、納骨先の種類や施設によって大きく異なります。一般的な霊園やお墓への納骨であれば、100~300万円が目安です。一方、合祀墓や納骨堂などの永代供養を選ぶ場合は、1柱ごとに10~150万円程度の費用がかかります。
永代供養は管理が不要なため費用を抑えられますが、遺骨を個別に管理しないため、家族で検討が必要です。
新しい墓所で納骨する際には、故人の魂を新しいお墓に宿らせる「開眼供養」を行います。 開眼供養のお布施は3~10万円が一般的ですが、寺院や地域によって異なります。
改葬は、故人の遺骨を新しい場所に移すための重要な手続きですが、その過程でトラブルが生じることもあります。以下では、改葬に際して特に注意すべき点と、トラブルが発生した際の対処法を解説します。
改葬は家族全体に関わるため、親族間で意見が分かれることが多く、特にお墓の管理や費用負担、新しい納骨先の選定などでトラブルになりやすいです。
対処法:
改葬する際は、親族全員で事前に十分に話し合い、全員の合意を得ることが大切です。
事後報告では反発を招きやすいので、事前に事情や改葬の必要性を説明し、理解を得るように努めましょう。
改葬の際、現在のお墓を管理している寺院とのやり取りが必要です。檀家契約を解除する際に「離檀料」という費用が発生することがあり、金額は寺院や地域によって異なります。
離檀料が高額になる場合もあるため、事前に金額を確認し、円満に手続きを進めましょう。
対処法:
住職にこれまでの供養への感謝をしっかりと伝え、丁寧に改葬を申し出る姿勢が大切です。
離檀料の金額で不明な点があれば、遠慮せずに確認し、無理な要求があった場合には第三者(自治体の相談窓口や宗教関連の団体)に相談するのも1つの方法です。
お墓の撤去や新しい墓石の建設は石材店に依頼しますが、石材店によっては価格や作業内容に差があるため、慎重に選ぶ必要があります。
中には適切な作業を行わなかったり、不法投棄をしたりする業者もいるため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
対処法:
石材店は、お寺や霊園からの紹介を受けるか、複数の業者から見積もりを取り、比較検討すると安心です。
また、実績があり評判の良い石材店を選び、施工後のアフターサービスが充実しているかどうかも確認すると良いでしょう。
改葬では、遺骨だけを移す場合と、墓石も一緒に移転する場合があります。
ただし、墓石の移転を受け入れてくれる霊園や墓地は限られており、移動先によっては受け入れを拒否されることもあります。
対処法:
墓石ごとの移転を希望する場合は、新しい霊園や墓地に事前に確認し、墓石の受け入れが可能かどうかを交渉しておきましょう。
墓石の移動が難しい場合には、あらかじめ新しい墓石を建てる選択肢も検討すると良いでしょう。
土葬は法律で禁止されていませんが、ほとんどの自治体や霊園では土葬を許可していません。
遺骨が土葬されていた場合、そのままの状態で改葬しようとしても、受け入れを拒否される可能性があります。
対処法:
土葬された遺骨を改葬する際は、改葬とともに火葬の手続きを進めます。土葬されていた遺骨の火葬は、改葬許可証の提出で可能な自治体が多いです。
改葬許可証を取得した後に火葬場に予約を入れ、納骨前に火葬を行いましょう。
改葬の際、これまでの墓地の永代使用料が返金されると思い込んでいるケースがありますが、永代使用料は返金の対象外です。
この費用は墓地の利用権として支払われたものであり、改葬や撤去を行っても戻ってくることはありません。
対処法:
永代使用料が返金されることは少ないため、その点を理解したうえで改葬を進めましょう。
管理者から返金されない旨を聞いた場合でも、トラブルに発展させず、今後の手続きに専念することが大切です。
改葬には複数の関係者が関わるため、丁寧に準備を進め、適切に対応することでトラブルを防ぎ、スムーズに手続きを行うことができます。
さがみ典礼は、埼玉県内で60年以上の実績を持ち、多くの自社式場を有する葬儀社です。一日葬・家族葬・一般葬など複数のプランを提供しており、葬儀に関する高い専門性を持つスタッフが在籍しています。
また、さがみ典礼では葬儀後のアフターサービスとして、埼玉県内の霊園や寺院墓地、永代供養墓などの案内を行っています。
さがみ典礼専用霊園の運営も行っているため、改葬先を始め故人の供養先でお困りの際は、お気軽にさがみ典礼にご相談ください。
改葬は、すでに埋葬されている遺骨を取り出し、別のお墓に移動させることです。改葬は、お墓の管理の利便性や家族の事情などを理由として行われます。
新しい納骨先の決定や改葬許可の申請が必要となるため、余裕を持って手続きを進めましょう。
改葬以外にも、故人の供養に関して悩みや疑問がある時は、お気軽にさがみ典礼にご相談ください。
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