一般的には友引の日に葬儀は行いませんが、埼玉県秩父郡横瀬町では友引の日でも葬儀を行うことが多いです。当然火葬場も営業しているので、友引の日を避けて葬儀の日程がずれ込むことはありません。ただし、友引の日に葬儀を行う場合は、午後3時以降でなければならないと考えるお坊さんもいます。いずれにしても、友引の日でも問題なく葬儀ができるというのは、全国的に見ても珍しいです。

埼玉県秩父郡横瀬町では、納棺をする時に縄を配る風習があります。納棺に立ち会う方は、受け取った縄を腰に巻いて参列します。女性は縄ではなく、たすき掛けをする場合もあるようです。これは昔着物を着て葬儀に参列していた人が、着物の袂が邪魔にならないように、たすき掛けをしていたことに由来しているのではないかと言われています。

人が亡くなった時、枕団子と一膳飯をお供えするのも秩父地方の風習です。枕団子をお供えするのは全国的にある風習ですが、秩父では上新粉ではなくうどん粉が使われます。一膳飯は枕団子を作る時に使った煮汁を利用して炊くというのも、秩父独自の風習です。また、一膳飯を炊く時は使い古した鍋を使い、屋外で炊くというのが決まりになっています。