葬儀を行う際、必要な用具の中でも棺桶は特に重要です。
しかし、普段の生活では棺桶に触れる機会がほとんどないため、いざというときにどう選べばよいのか悩む方が多いでしょう。
棺桶にはさまざまな種類やサイズがあり、費用も大きく異なります。
また、現代ではデザイン性を重視した「かわいい」棺桶や、海外で使用される大きな棺桶も存在します。
本記事では、棺と棺桶の基本的な違いから、選び方のポイント、費用相場、そして注意点までをわかりやすく解説します。
棺桶とは？棺と棺桶の違い
棺桶とは？
棺桶とは、故人の遺体を納めるための箱のことです。 葬儀といえば棺桶をイメージする方も多いのではないでしょうか。 以下に、棺桶の歴史と棺と柩の違いについて解説します。
棺桶の歴史
日本においては、遺体を箱に納める風習は縄文時代から始まっていました。
そのため、日本人は何百年もこの風習を続けていることになります。
棺に「棺」という文字が使われるようになったのは鎌倉時代からで、当時は土葬が一般的でした。
この時期、遺体を座った状態で納める「座棺（ざかん）」が主流でした。
その後、棺桶の形状は時代とともに変化してきました。明治時代に火葬が一般化すると、棺桶も寝棺が主流となりました。
「棺桶」という言葉の「桶」という部分には由来：
鎌倉時代使用されていた「座棺」形状が「桶」と似ていることから「棺桶」と呼ばれるようになりました。
棺と柩の違い
棺桶には「棺（ひつぎ）」と「柩（ひつぎ）」という2つの呼び方があります。
これらの使い分けは、ご遺体が納められているかどうかによります。
遺体が収められていない空の状態の箱を「棺」と呼び、遺体が納められている箱を「柩」と呼びます。
例えば、遺体を運ぶ車を「霊柩車」と呼ぶのはこのためです。
棺桶の選び方のポイント
棺桶を選ぶ際のポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。
棺桶のサイズ、素材、形状について理解することで、故人にふさわしい棺桶を選ぶ手助けとなれば幸いです。
棺桶のサイズ
棺桶のサイズは、故人の身長に合わせて選びます。
標準的な棺桶の長さは6尺（約180cm）ですが、故人の身長や体型に応じて最適なサイズを選ぶことが大切です。
特に身長が高い場合や大柄な方の場合、身長＋10cm程度を目安にするとよいでしょう。
これは、死後硬直による足の伸びを考慮したものです。
また、火葬場によっては棺桶の最大サイズに制限があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
棺桶の素材と費用相場
棺桶にはさまざまな素材が使用されています。
それぞれの特徴を理解して、故人や家族の希望に合ったものを選びましょう。
木棺： 40,000〜1,000,000円
檜や桐などの天然木を使用した伝統的な棺桶です。自然な風合いと木の香りが特徴で、重厚感があります。価格は幅広く、シンプルなものから装飾が施された高級品まで揃っています。
布張棺： 20,000〜300,000円
木製の棺桶に布を貼り付けたものです。布の色や柄を選べるため、故人の個性を反映させやすいのが魅力です。価格も比較的手頃です。
エコ棺： 100,000〜400,000円
段ボールや再生紙など環境に優しい素材を使用した棺桶です。火葬時の二酸化炭素排出量が少なく、環境保護に配慮した選択肢です。価格は中程度です。
エンバー棺： 50,000〜200,000円
エンバーミング処置が施された遺体用の棺桶です。大きな窓が付いており、顔を見ながらお別れできる仕様です。価格はやや高めです。
素材によって価格や見た目が大きく異なるため、予算や故人の好みに合わせて選んでください。
棺桶の形状
棺桶の形状もさまざまです。
それぞれの形には独自の特徴がありますので、故人や家族の希望に合わせて選ぶことが大切です。
箱型棺：
平らな蓋の長方形の棺桶で、最も一般的な形状です。シンプルで使いやすいことから広く使用されています。
山型棺：
蓋が山のように盛り上がっている形状です。装飾性が高く、見た目にも重厚感があります。
かまぼこ型棺：
蓋が曲線を描くように盛り上がっている形状です。柔らかな印象を与え、女性に人気があります。
船型棺：
頭側が広く、足側が狭くなっている形状で、映画や海外の葬儀でよく見られるデザインです。
インロー棺：
蓋がはめ込み式になっており、印籠のような高級感があります。装飾が施され、格式を感じさせるデザインです。
棺桶の選び方は、サイズ、素材、形状の3つのポイントを押さえることが重要です。
故人の身長や体型、好みを考慮しながら、適切な棺桶を選びましょう。
また、火葬場の規定に合ったサイズを確認することも忘れずに。
この記事を参考に、安心して最適な棺桶を選べるように準備を整えてください。
アルファクラブ武蔵野株式会社
葬祭部 さがみ典礼 執行役員
大学卒業後、アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部さがみ典礼に就職してから約20年を葬儀場の現場でお客様の悲しみに寄り添ってきました。
現在は、さがみ典礼の責任者として、現場スタッフとともに残されたご家族のみなさまがより安心して葬儀を進めていただけるお手伝いできることを心掛けています。
2004年3月 東邦大学理学部卒業
2004年4月 アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 入社
2020年1月 アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 川口支社 支社長
2021年5月 アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 副本部長
2022年5月 アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 本部長
2023年9月 (有)中央福祉葬祭 取締役（アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 本部長兼務）
2024年5月 アルファクラブ武蔵野（株）葬祭部 執行役員
