形見分けの進め方とマナーと注意点

形見分けは故人を偲ぶ大切な儀式ですが、その手順やマナーについては知られていないことも多くあります。
本記事では、形見分けの基本から、トラブルを避けるための注意点までを解説します。

形見分けの意義と目的

形見分けの意義と目的

形見分けが持つ本来の意味

形見分けとは、故人が生前に大切にしていた品物を、親族や友人など故人と親しかった方々に分け与えることです。
この風習は、単なる遺品の分配ではなく、品物を通じて故人を偲び、思い出を共有することを目的としています。
遺された品々を手に取ることで、故人の温もりや記憶がよみがえり、遺族や親しい人々との絆を再確認することができ、故人への想いを受け継ぎ、その思い出を大切に守り続けるための大切な儀式と言えるでしょう。

形見分けと遺品整理の違い

形見分けは、故人が生前に愛用していた品物を親族や友人に贈ることで、故人の思い出を共有し、故人との絆を感じるための行為です。
形見分けの対象となるのは、特に思い入れのある品物で、贈られる人にとっても大切な思い出となるものが選ばれます。
このように、感情的なつながりを大切にする点が形見分けの特徴です。

一方、遺品整理は、故人が遺した品物を整理して、家や部屋を片付けることが目的です。
遺品整理では、日用品や消耗品、家具など、生活に使っていたものを含めてすべての品物を整理し、残すものと処分するものに分ける作業が含まれます。
実務的な側面が強く、必要に応じて専門の業者に依頼することもあります。

このように、形見分けは「思い出を共有するための行為」、遺品整理は「実生活の整理をするための作業」という違いがあります。

対象となる遺品の選び方

形見分けの際に選ぶ遺品は、故人が生前に大切にしていた品物や思い入れのあるものが基本となります。
例えば、愛用していた腕時計やアクセサリー、手紙、写真、趣味に関する道具などがよく選ばれます。
また、故人の愛用品だけでなく、着物や服、靴といった日常的に身に着けていた衣類も、故人の面影を感じられるため、形見分けの対象となります。

選ぶ際には、故人と受け取る人との関係性や、その人が喜んで大切にしてくれそうなものを考慮することが重要です。
一方で、宝石(アクセサリー)や不動産、美術品などの高価な品物は「遺産」として相続の対象になるため、形見分けとは別に扱われることが一般的です。
現金や金券も形見として贈ることはできませんので注意しましょう。

宗教別にみる形見分けのマナー

宗教別にみる形見分けのマナー

仏教における形見分け

仏教では、故人が亡くなってから四十九日法要後に形見分けを行うのが一般的です。
四十九日は、故人の魂が極楽浄土に生まれ変わるまでの期間とされ、この期間が過ぎた後に形見分けを行うことで、故人の魂を安らかにして、遺族も新たな気持ちで故人を偲ぶことができるようになります。
仏教では、形見分けは故人の遺志を尊重し、その思い出を大切に受け継ぐための行為とされています。

神道における形見分け

神道では、三十日祭や五十日祭が形見分けの時期とされています。
故人の魂は神様になると考えられており、形見分けは、故人の魂を慰め、その霊力を遺族に授けるための行為とされています。

キリスト教における形見分け

キリスト教では、仏教のような形見分けの習慣は本来ありませんが、日本では故人を偲ぶための形見分けが行われることがあります。
追悼の儀式として、カトリックでは故人の逝去から3日目、7日目、30日目に追悼ミサを行い、プロテスタントでは亡くなってから1か月後に「召天記念日」として追悼の礼拝が行われます。
このような追悼の場で、形見分けが行われることが一般的です。
形見分けの時期に特に決まりはありませんが、日本では追悼ミサの30日目や1か月後のタイミングで形見分けを行うケースが多く見られます。

なお、キリスト教の儀式に参加する際は、宗教的なマナーを守り、宗教の違いを尊重し、追悼ミサや昇天記念式では服装や言葉遣いに注意しながら、故人やそのご家族に敬意を表すよう心がけましょう。

形見分けの手順と注意点

形見分けの手順と注意点

形見分けの流れ

形見分けは、遺族間で話し合い、故人の遺志を尊重しながら進めることが大切です。
まず、遺族で集まり、形見分けを行う遺品を決定します。次に、遺品を分け与える相手を決め、それぞれの相手に渡す品物を決めます。
最後に、形見分けの時期と方法を決め、遺族全員で確認します。
形見分けは、故人を偲び、その思い出を共有するための大切な儀式ですので、遺族間でしっかりと話し合い、故人の遺志を尊重しながら、円滑に進めるようにしましょう。

品物の扱い方に関するマナー

形見分けで渡す品物は、きれいに整えてから、適切な方法で渡すことが大切です。
故人が大切にしていた品物であることを意識し、丁寧に扱うようにしましょう。
例えば、洋服はアイロンをかけてシワを伸ばしたり、アクセサリーは専用のケースに入れて渡したりするなど、品物の状態に合わせて適切な方法で渡すように心がけましょう。
また、渡す際には、故人との思い出話などを添えて、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

形見分けに伴うトラブルを防ぐには

形見分けは、故人の思い出を共有する大切な儀式ですが、遺族間でトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
トラブルを防ぐためには、遺族間でしっかりと話し合い、故人の遺志を尊重することが大切です。
また、形見分けの際に、遺族それぞれの立場や気持ちを理解し、配慮することが重要です。
例えば、故人と特に仲が良かった遺族は、形見分けで特別な思い入れがあるかもしれません。
そのような遺族の気持ちを理解し、配慮することで、トラブルを防ぐことができます。

形見分けと法律

形見分けと法律

形見分けを行う際には、感情的な側面だけでなく、法的な注意点も理解しておくことが大切です。
以下のポイントに気をつけましょう。

相続税や贈与税の対象になる可能性

形見分けで渡す品物が高価な場合、相続税や贈与税の対象になることがあります。
一般的に、形見分けの品物は相続税の課税対象にならないケースも多いですが、高額な品物を譲渡する場合は、税金が発生する可能性があるため、事前に品物の価値を確認しておくことが重要です。
相続税の申告が必要かどうかは、専門家に相談すると安心です。

相続放棄に関する注意

形見分けで品物を受け取ると、その行為が「相続の承認」とみなされ、相続放棄ができなくなる場合があります。
相続放棄を考えている場合は、形見分けを行う前に慎重に判断し、必要に応じて専門家に相談するようにしましょう。

故人の遺言の確認

形見分けをする前に、故人の遺言書やエンディングノートを確認することが大切です。
遺言に「特定の品物を誰に譲る」と指定されている場合は、その指示に従う必要があります。
また、遺産分割のトラブルを避けるためにも、全ての相続人の了解を得てから形見分けを行うことが望ましいです。

その他の注意点

故人が生前に借金をしていた場合、その担保となっている品物を形見分けで渡すことはできません。
また、高価な品物は親族以外に譲るとトラブルになる可能性もあるため、注意が必要です。

形見分けを進める際には、故人の遺志や親族間の合意を大切にしつつ、法的な面も考慮して進めるようにしましょう。
適切な手続きを踏むために、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

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