焼香の流れや作法

焼香の意味や目的を知る

焼香とは、お香を燃焼させることです。一般的には、仏教形式の葬儀や法事の場で、抹香(細かく砕かれた木片)を指先でつまみ、香炉に置かれた炭の上にパラパラと落とすという所作が焼香にあたります。

お香を燃焼させるのは、なぜでしょうか。お香は香りを立てることが目的にあります。立ち昇る煙ではなく、漂う香りがポイントです。

香りを立てる意味については諸説あります。下記は、諸説あるうちの一例です。

  1. 仏様をお祀りするに相応しい場所とする
  2. 自分の心身、空間を浄める
  3. 仏法僧の三宝に献上する(仏=お釈迦様、法=お釈迦様の教え、僧=僧侶の集団)
  4. 仏様や亡くなられた人の食事(仏様や亡くなられた人は香りを食すると言われる)

1について、香り、花、灯明の3点が仏様をお祀りする際の基本的なお供え物です。香りは3点のうちのひとつであり、香りを立てる焼香は仏教において重要な行いとされています。

焼香をするタイミング

一般的に、焼香をするのは葬儀や法要といった儀式の最中です。焼香は喪主からはじまり、遺族や親族、その他参列者という順で進んでいきます。遺族親族については、亡くなられた人との血縁関係が近い人から進めていくのが通例です。

焼香は、儀式中に僧侶または葬儀社スタッフから案内されるまで、着席または列に並んで待機していましょう。

なお、儀式の前後に焼香をしたい人は、葬儀社スタッフに相談をしましょう。状況によって、焼香ではなく線香を手向けるよう案内されることもあります。

焼香の全体的な流れ

焼香の流れは、地域、寺院、葬儀規模など状況によって変わることがあります。状況に応じた対応が必要となりますので、会場内の案内に注意しておきましょう。ここでは、遺族親族が葬儀会場でする焼香の流れを一例として紹介します。

  1. 案内があるまで着席の状態で待つ
  2. 案内に従って焼香台へと進む
  3. 焼香台の手前に立ち、本尊や亡くなられた人に対して一礼する
  4. 焼香をする(抹香を摘み、香炉にくべる)
  5. 合掌しながら、軽く頭を垂れる
  6. 合掌を解き、再度本尊や亡くなられた人に対して一礼し、自分の席に戻る

一般葬など遺族親族以外の参列者がいる場合には、2と3の間、6の自分の席に戻る前、参列者に向いて軽く一礼をする場合もあります。

【宗派別】焼香の回数や作法

【宗派別】焼香の回数や作法

仏教には天台宗、真言宗、浄土真宗など、さまざまな宗派があります。どの宗派でも焼香の回数や作法が一緒というわけではありません。下記は、宗派別の焼香回数や作法の例です。

宗派回数作法
天台宗1回または3回抹香を右手の指先でつまみあげ、眉間のあたりまでうやうやしく掲げてから、香炉にくべる
真言宗3回抹香を右手の指先でつまみあげ、眉間のあたりまでうやうやしく掲げてから、香炉にくべる
浄土宗1~3回抹香を右手の指先でつまみあげ、眉間のあたりまでうやうやしく掲げてから、香炉にくべる
浄土真宗
本願寺派
1回抹香を右手の指先でつまみあげ、そのまま香炉にくべる
浄土真宗
大谷派
2回抹香を右手の指先でつまみあげ、そのまま香炉にくべる
臨済宗1回抹香を右手の指先つまみあげ、そのまま香炉にくべる
曹洞宗2回抹香を右手の指先でつまみあげ、1回目は眉間のあたりまでうやうやしく掲げてから、香炉にくべる。2回目は、眉間のあたりまでうやうやしく掲げずに、そのまま香炉にくべる
日蓮宗1回または3回抹香を右手の指先でつまみあげ、眉間のあたりまでうやうやしく掲げてから、香炉にくべる

「眉間のあたりまでうやうやしく掲げる」という所作は「おしいただく」と表現されることもあります。

なお、同じ宗派のなかでもさらに細かく分派している場合や、その他寺院、地域の慣習といったものが影響し、上記の表とは回数や作法が異なるケースもありますので実際には寺院や葬儀社スタッフに確認することが無難です。

指名焼香とはどういうこと?

指名焼香とは、儀式中に司会者から名前を読み上げられた人がする焼香の形式です。「読み上げ焼香」や「呼名(こめい)焼香」と呼ばれることもあります。指名焼香をするのは、喪主といった葬儀で中心となる人のみとするのが一般的です。

必ずしも指名焼香が行われるわけではありません。地域の慣習、遺族の希望、葬儀の形態などを踏まえて指名焼香の有無を葬儀社と打ち合わせする中で決めることになります。規模の大きい社葬や公的な慰霊祭といった場では、指名焼香をするケースが多いようです。

【宗派別】線香の本数や作法

実は、線香を手向けることも焼香の方法のひとつです。仏壇、法要やお墓参りなど焼香よりも線香を手向ける機会のほうが多いのかもしれません。手向ける線香の本数にも宗派による違いがあります。

宗派線香の本数
天台宗1本または3本
真言宗3本
浄土宗1本
浄土真宗
(本願寺派、大谷派)
1本が基本だが本数には、あまりこだわらない
臨済宗1~3本
曹洞宗1本
日蓮宗1本

浄土真宗では、線香を寝かせて香炉に置きます。線香の向きは、着火しているほうを左に向けて祭壇と平行になるよう寝かせるのが原則です。線香が長すぎて香炉に寝かせられないときは、香炉に入りやすい長さに線香を折って寝かせる対応で差し支えありません。浄土真宗以外の宗派は、香炉に線香を立てます。

線香の先に火を着けたあと、息を吹きかけて消すのはマナー違反です。手で仰ぐか、線香を軽く振って火を消しましょう。

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