葬式は、亡くなった方を偲び、生前の感謝を伝える大切な儀式です。特に、日本の文化では、故人との最後の別れの場として、フォーマルで格式のある行事とされています。参列する際には、悲しみだけでなく不安や緊張を感じることもあるかもしれません。
また、通夜や葬式、告別式の明確な違いがわからない方も多いのではないでしょうか。本記事では、通夜と葬式、告別式の違いや意味のほか、それぞれの手順、マナー、注意点を解説します。
通夜、葬式、そして告別式は、故人に対する最後の別れの儀式ですが、それぞれ異なる目的と意味を持ちます。
まず、通夜は故人との別れを惜しむ時間で、通常、葬式の前夜に行われます。宗教的な要素を含み、故人の冥福を祈る儀式として、読経や焼香などが行われます。参列するのは家族や親族、親しい友人など、故人と深い関係のある人々が中心です。
通夜の後には、参列者と故人の思い出を語り合う飲食の時間(通夜振る舞い)が設けられることが多いです。
次に、葬式は故人の魂の旅立ちを見送る宗教的な儀式です。故人の冥福を祈る目的があり、宗教者が中心となって執り行われます。故人の家族や親族が主に参列します。
そして、告別式は故人との個人的な最後のお別れの場です。より公的な性質を持ち、故人の人生を偲び敬意を表します。参列者は家族や親族に加え、故人の友人、同僚、知人など、広い範囲から集まります。故人への感謝や思い出を共有する場となることが一般的です。
通夜・葬式・告別式は、実際には1つの式場で連続して行われることがほとんどです。その理由は、参列者の都合や火葬場のスケジュール調整など、諸事情によるものです。しかし、それぞれの儀式は異なる精神性と社会性を持つため、故人との関係の深さや形式によって参列者や進行が変わることを理解するといいでしょう。
通夜とは、故人がこの世を旅立つ前に、家族や友人、知人が一堂に会し、故人の遺体とともに静かに時を過ごし、精神的なサポートや供養を行う儀式のことを指します。かつては夜通し行われていたため「通夜」と名付けられましたが、現代では1時間から3時間程度の短縮形式(「半通夜」とも呼ばれます)が一般的です。
通夜は故人との最後の夜を共有する、感情的な意味合いが強いものです。親しい方々が故人の思い出を語り合い、別れを惜しむ特別な時間となります。基本的に葬式や告別式の前に設けられ、故人の家族、親戚、友人、近隣住民、職場の同僚など、故人とつながりのある関係者が集まります。
儀式は通常、夕方の18時から19時頃に始まります。参列者は焼香で故人に敬意を表し、その後、故人の遺族が料理などの「通夜振る舞い」を通じて、参列者をもてなします。これは故人への感謝の意を示すとともに、故人とのつながりを大切にする参列者全員に対する心遣いで行われます。
通夜は慣れない方が多いため、事前に流れを理解し、故人と遺族に敬意を示すことが大切です。通夜には特有のマナーが存在します。流れとともにマナーも把握して、礼儀正しい参列を心がけましょう。
1.到着と時間の確認
通夜が始まる約10分前に斎場に到着しましょう。遅れてしまった場合でも、焼香が終わるまでは参加可能です。
2.受付・記帳
斎場に着いたら、指示に従い受付へ進みます。受付でお悔やみの言葉を述べ、香典を適切に手渡し、芳名帳に記帳します。
3.着席と僧侶の入場
案内に従い、指定された席に着きます。僧侶の入場とともに、通夜が始まります。
4.読経・焼香
僧侶の読経に続き、焼香が行われます。焼香の際は、指示に従い行動し、宗派の作法を守ります。
5.法話
焼香後、僧侶による法話があり、故人を偲びながら仏教の教えを聞きます。
6.僧侶の退場と喪主の挨拶
法話の後、僧侶が退場し、喪主が挨拶とお礼の言葉を述べます。
7.通夜振る舞い
通夜の終了後、参列者は供養の意味も込めて食事をともにします。マナーや忌み言葉に注意しながら、適切な会話を心がけます。
8.退場
遺族の体力を考慮し、適切な時間に静かに退席します。遺族に感謝の言葉を述べ、翌日の葬儀に備えます。
以上の流れに沿って、故人と遺族に敬意を表しながら、通夜に参加しましょう。宗派や地域の慣習にも注意を払い、適切なマナーで臨むことが大切です。
通夜振る舞いへの参加を案内された際には、断ることは避けましょう。参加が難しい場合でも、食事に軽く箸をつけ、遺族に心遣いの言葉を述べてから丁寧に退席するのが礼儀です。
一般的には、喪主が食事を始めるのを見届けてから箸をつけます。通夜振る舞いでは、喪主や遺族の気持ちを思いやり、行動を控えめに保つことが重要です。また、通夜見舞いとして差し入れをする場合は、おにぎりやサンドイッチ、のり巻き、お菓子、果物、ジュース、お酒などが適しています。
特に和室での振る舞いには注意が必要です。膝行膝退を守り、他の参列者の前を通る際には「失礼します」と一言述べるか、軽く頭を下げて礼儀正しく進むようにしましょう。通夜では、同席者と故人の思い出を分かち合い、静かに語り合うことが望ましいです。
退席する際には、遺族に感謝の言葉を伝え、最後に焼香を行うことを忘れないようにしましょう。
葬式は、故人の冥福を祈り、その人生を偲び、遺族や友人が最後の別れを告げるための重要な儀式です。故人を尊重し、死を受け入れ悲しみを共有することで気持ちを整理し、遺族や参列者が前に進む助けとなります。そのため、葬式は故人だけでなく、生きている人々にとっても意味があります。
また、葬式は「葬儀式」を指す場合もあれば、通夜から告別式までを含む総称として使われることもあります。ただし、これらの用語はそれぞれ異なる段階や要素を指すため、文脈によって適切に使い分けましょう。
宗教や文化によって葬式の実施方法は異なりますが、共通しているのは故人を敬い、そして遺族とともに新しい現実を受け入れる過程であることです。通常、仏教では僧侶による読経や焼香、神道では神官による祭詞の奏上、キリスト教では聖書の朗読や祈りなどが行われます。
多くの場合、葬式は通夜の翌日に行われ、1時間から3時間程度の時間が設けられます。その後、告別式、火葬と続きます。
故人の生前の業績や人間関係、そして愛情を偲び、最後のお別れの時間を持つのが告別式です。故人の人生を祝福し、その魂が安らかに次の旅に進むことを願う場となります。参列者は、故人との思い出を心に留めながら、静かに別れを告げ、支え合った時間に感謝します。
告別式は、文化や宗教、そして個々の家族の伝統によって様々な形で行われます。いずれの形式でも共通しているのは、故人への敬意を表し、生前の関係を回顧し、遺族や友人が故人を偲びながら支え合うことです。
告別式を通じて、故人との絆を再確認し、生の尊さや時間の価値を改めて認識します。告別式は終わりではなく、故人を記憶の中で生かし続ける始まりです。
葬式での読経が終わると、ほぼ同時進行で告別式が始まります。葬式と告別式は合わせて約1時間が目安とされています。告別式の典型的な流れは以下の通りです。
1.焼香
参列者は順に前に進み、焼香を通じて故人の冥福を祈ります。遺族と向かい合った際には、短いお悔やみの言葉を述べるか、黙って一礼します。
2.別れ花
喪主を初め、遺族、参列者が順に進み、棺に花を手向けます。故人に別れを告げたら、速やかに次の参列者のために場所を譲ります。そして遺族が最後にゆっくりとお別れできるように配慮することが大切です。
3.釘打ち
かつては棺の蓋を閉じた後に釘を打つ儀式が行われていましたが、現代では蓋を閉じて手を合わせるのみとする形式が多く見受けられます。
4.喪主挨拶
喪主が前に立ち、参列者への感謝の言葉を述べます。その後、司会者の閉会の辞に続いて、告別式は終了に向かいます。
5.出棺
霊柩車へ棺を運ぶ際には、通常8名程度が担当します。主に男性が棺を運びますが、女性が行うこともあります。
告別式が終了すると、遺族はマイクロバスやタクシー、個人の車で火葬場へと向かいます。参列者は式場で故人の出棺を見守ります。霊柩車が発車する際には、クラクションが鳴ることがあります。その音を合図に、参列者は合掌し、黙祷して故人の旅立ちを見送ります。
一般的に参列者が火葬場まで同行することは少ないですが、遺族から特に依頼があった場合には、同行をしても良いとされています。
以上のような流れで行われる告別式ですが、地域の風習や故人の遺志、宗教的な背景によって異なるため、参列する際には事前の確認が重要です。
通夜や葬式、告別式に参列する際には、故人とその遺族に対する敬意を示すため、特定の作法が求められます。適切な服装を心がけ、静粛に振る舞い、故人や遺族に対して思いやりの言葉をかけることが大切です。参列者が心得ておくべきポイントを、以下にまとめました。
4つのポイントについて、詳しく説明していきます。
喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類あり、現在では遺族や会葬者が主に着用するのは準喪服です。正喪服の着用は稀で、準備が難しい場合や弔問時には略喪服が選ばれることもあります。以下では、通夜に参加する際の一般的な喪服マナーとして、準喪服の基本ルールを解説します。
男性の喪服
スーツ:黒のマットな素材(光沢素材は避ける)、パンツの裾はシングル
シャツ:白無地のレギュラーカラーシャツ
ネクタイ:黒の無地、結び目にくぼみが出ないよう留意
ベルト:シンプルな黒
靴下:黒無地
靴:装飾のない紐付きの黒革靴
女性の喪服
スーツ:黒のマットな素材(光沢素材は避ける)アンサンブル、ワンピース、パンツスーツ
ストッキング:黒の薄手(30デニール以下)
パンプス:布や革製のもの(ハイヒールやオープントゥ、ミュール、サンダルは避ける)
注意点:スカート丈は膝を覆う長さ。夏は上半身の露出を控え、五分袖以上のものを選ぶ
数珠は、多数の珠を糸でつなげた宗教用具で、煩悩を消し去る象徴とされています。通夜や葬式、告別式、法事の場以外では、念仏の数を数える際にも用いられます。数珠の種類は、大きく分けて以下の2通りです。
本式数珠:
108の珠で構成され、宗派により形状が異なります。主な素材は木や石で、多様な房の形があるため、事前に宗派を確認すると良いでしょう。
なお、「略式数珠」は、珠の数を少なくした汎用タイプで、どの宗派でも使えます。数珠は男女別に設計されており、サイズや房の素材、色がそれぞれ異なります。
香典は故人に対する敬意を表すもので、金額は関係性や葬儀の規模、故人の地位などを考慮して決めます。過度に高額な香典は避け、喪家の香典返しを考慮するのが礼儀です。
不祝儀袋は金額に応じて選び、事前に複数準備すると良いでしょう。故人の宗教に応じて表書きを変えることが望ましいです。「御霊前」は全宗教で適切ですが、宗派が明確な場合はそれに合わせましょう。表書きには薄墨で名前を記入します。
なお、香典のお札は新札を避け、折り目の少ないきれいなものを用いましょう。新札しかない場合は、折り目をつけてから入れます。お札の向きをそろえ、寒色系の袱紗(ふくさ)に包んで持参します。
金額別の不祝儀袋の種類
※香典の金額は故人との関係性によって変わりますが、4(死)や9(苦)を想起させる数は避けましょう。
故人を偲び、遺族に対する思いやりの心を表す際、適切なお悔やみの言葉を述べることは重要です。通夜や葬式、告別式の受付で遺族に直接会う場面では、以下のような言葉を選ぶことで、故人への敬意と遺族への慰めの気持ちを伝えることができます。
「このたびは、まことにご愁傷様です。心からお悔やみ申し上げます。」
「突然のご不幸、まことに残念でなりません。心よりお悔やみ申し上げます。」
「訃報に接し、ご家族の皆様の悲しみを思うとお慰めの言葉もございません。」
「このたびは、思いがけないことで、さぞお力落としのこととお察しいたします。心からお悔やみ申し上げます。」
お悔やみの言葉を述べる際は、状況や故人との関係を思慮し、場の雰囲気に合ったものを選ぶことが大切です。
故人を偲ぶ場面では、敬意を表すために言葉選びには注意が必要です。以下で詳しく解説します。
悲しみを連想させる言葉の使用を避ける:
不幸や悲しみを連想させる言葉のほか、「色々」や「くれぐれも」などの重ね言葉も、不幸が続くと受け取られる可能性があるため使用を避けます。「大変なこと」や「消える」等の直接的なネガティブなイメージの言葉も控えましょう。
死に関する直接的な表現を避ける:
「死ぬ」や「死亡」などの直接的な表現は避け、「逝去」や「お元気だった頃」のように穏やかで思いやりのある言葉を使いましょう。遺族の感情を配慮し、故人に対する敬意を示すために必要なマナーです。
死因について問い詰めない:
故人の死因や具体的な状況を尋ねることは控えましょう。遺族のプライバシーを尊重し、不要な痛みを与えることのないよう配慮が必要です。お悔やみの言葉は、一般的で敬意を表す内容に留めるようにしましょう。
言葉は簡潔に:
葬式や通夜では他の参列者もいるため、お悔やみの言葉は簡潔明瞭にするのがマナーです。長々とした会話で遺族に負担を与えないようにしましょう。
簡単な励ましの言葉は控える:
「頑張って」や「元気を出して」等の安易な励ましは、遺族の深い悲しみを軽視しているように感じられることがあります。励ましよりも、静かな支えとなるような言葉を選ぶことが重要です。
弔問が難しい場合の対応:
通夜や葬式、告別式に参列できない場合でも、お悔やみ状やメッセージを送ることで敬意と哀悼の意を示しましょう。
以上のポイントを心がけることで、故人とそのご遺族に対する深い敬意と思いやりを表現することができます。状況や遺族の感情を敏感に察し、適切な言葉を選ぶことが、お悔やみの場面で最も重要なマナーとなります。
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