お葬式には、古くから伝わるさまざまなしきたりや慣習があります。
その中でも、「一膳飯」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
一膳飯とは、故人のためにご飯を供える儀式であり、特にご飯に箸を垂直に立てる行為が特徴的です。
このようなしきたりには、どんな意味が込められているのでしょうか?
本記事では、一膳飯の由来や作り方、箸の立て方、そしてその縁起について詳しく解説します。
一膳飯とは?由来と作り方
一膳飯(いちぜんめし)は、葬儀の際に故人を供養するために供えるご飯のことです。
ご飯を山盛りにし、その中央に箸を垂直に立てるのが特徴です。
この行為には深い意味が込められています。この記事では、一膳飯の由来、作り方、供え方について詳しく解説します。
一膳飯の由来
一膳飯の習わしは、古くから日本の葬儀において行われてきました。
故人が旅立つ前の最後の食事として供えられる一膳飯には、「この世での最期の食事」という意味が込められています。
また、箸を立てる行為は「あの世とこの世をつなぐ橋」を象徴し、故人が迷わずに極楽浄土へ旅立てるようにという願いが込められています。
一膳飯の意味
一膳飯は、故人が極楽浄土へ旅立つ前にいただく最期の食事、または旅路の途中で食べるための弁当とされています。
このように、一膳飯には故人を思いやる深い意味が込められています。
一膳飯の作り方
一膳飯の作り方は次の通りです。
ご飯を炊く:
新しく一合の白米を炊きます。
このご飯は、生きている人が食べるものとは別に炊く必要があります。
これは、生者と死者の食事を分けるという日本の古来からの風習に基づいています。
ご飯を盛る:
炊きあがったご飯を一粒も残さず、故人が生前に使っていた茶碗に山盛りにします。
ご飯を山形に盛るには、二つの茶碗を用意し、それぞれにご飯を詰めてから重ね合わせて押し付け、片方の茶碗をそっと外すと美しい山盛りのご飯ができます。
箸を立てる:
盛り付けたご飯の中央に箸を垂直に立てます。
この箸の立て方は地域によって異なる場合がありますが、一般的には1本の箸を立てるか、2本の箸を重ねて立てます。
箸を立てることで、故人が迷わずにあの世へ旅立てるようにという意味が込められています。
一膳飯の供え方
一膳飯は、故人の枕元に供える「枕飾り」の一部として供えられます。
枕飾りには、一膳飯のほかに枕団子、香炉、蝋燭立て、花瓶、水、鈴などが並べられます。
これらは、故人を供養するためのものであり、故人が安らかに旅立てるようにとの願いが込められています。
一膳飯に関連するタブー
一膳飯に関連するタブーも知っておくと良いでしょう。
例えば、箸を立てる行為は葬儀以外では縁起が悪いとされており、日常の食事では避けるべきです。
また、一膳飯は故人のためのものであり、生者が口にすることはタブーとされています。
茶碗割りの儀式
茶碗割りの儀式は、葬儀の際に行われる日本独特のしきたりの一つです。
これは、故人が使用していた茶碗を割ることで、故人がこの世に未練を残さず、安らかにあの世へ旅立てるように願う意味があります。
ここでは、茶碗割りの由来や意味、具体的な儀式の流れについて詳しく解説します。
茶碗割りの意味
茶碗割りは、故人が生前に使っていた茶碗を割ることで、「もうこの世で使うことはない」というメッセージを込めています。
この儀式を通じて、遺族は故人との別れを受け入れ、故人が安心して旅立てるように祈ります。
また、この行為には遺族が悲しみを乗り越えるための象徴的な意味も含まれています。
茶碗割りのタイミングと方法
茶碗割りは、一般的に出棺の際に行われます。
しかし、地域や家庭によっては異なるタイミングで行うこともあります。
以下に、いくつかのタイミングと方法を紹介します。
出棺時:
多くの地域では、出棺の際に故人の茶碗を割ります。
これは、故人が現世に戻ることなく、安心してあの世へ旅立てるようにするためです。
自宅安置時:
故人が自宅に安置されている場合、斎場へ移動する前に茶碗を割ることがあります。
この場合、自宅で故人への最後の別れを行う意味があります。
安置施設利用時:
安置施設を利用している場合、出棺前や葬儀が終わった翌朝に茶碗を割ることがあります。
出棺の時間や周囲の状況を考慮して、タイミングを決めるとよいでしょう。
茶碗を割る際の注意点
茶碗割りでは、一般的に故人が生前に使用していた茶碗を使用します。
長く使われた食器には故人の魂が宿ると考えられているためです。
ただし、故人の茶碗がない場合や破損している場合は、葬儀社や僧侶に相談して適切な対処法を尋ねることができます。
茶碗割りの儀式が減少している理由
近年、茶碗割りの儀式は少なくなってきています。
現代のライフスタイルや葬儀のスタイルの変化、無宗教の葬儀の増加がその主な理由です。
また、都市部では集合住宅の増加に伴い、騒音などの配慮から茶碗を割る行為が控えられることもあります。
茶碗割りの儀式の現代的な意味
茶碗割りの儀式は必須ではありませんが、故人との最後の別れを象徴する大切な儀式の一つです。
地域や家庭の慣習に従い、無理なく行うことが大切です。
故人への感謝と祈りの気持ちを込めて、茶碗割りの儀式を行うことで、故人が安らかに旅立てるよう願いましょう。
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アルファクラブ武蔵野株式会社
葬祭部 さがみ典礼 執行役員
大学卒業後、アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部さがみ典礼に就職してから約20年を葬儀場の現場でお客様の悲しみに寄り添ってきました。
現在は、さがみ典礼の責任者として、現場スタッフとともに残されたご家族のみなさまがより安心して葬儀を進めていただけるお手伝いできることを心掛けています。
2004年3月 東邦大学理学部卒業
2004年4月 アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 入社
2020年1月 アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 川口支社 支社長
2021年5月 アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 副本部長
2022年5月 アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 本部長
2023年9月 (有)中央福祉葬祭 取締役(アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 本部長兼務)
2024年5月 アルファクラブ武蔵野(株)葬祭部 執行役員