お彼岸の意味と行うこと

お彼岸とは

お彼岸は雑節という日本の暦日のひとつで、春彼岸と秋彼岸があります。春彼岸は、春分の日を中日として、前後3日の合計7日間です。秋彼岸は同様に、秋分の日を中日として、前後3日の合計7日間です。

初日を「彼岸入り」、終日を「彼岸明け」といいます。ちなみに春分の日と秋分の日は、国民の祝日であり、国立天文台が日付を定め、前年の2月1日に政府が発表します。祝日法では、春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ日」、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」とされています。

お彼岸の由来

語源は、サンスクリット語の「パーラミター」にあると言われています。本来、「パーラミター」とは「完成する」という意味の言葉です。仏教用語として使われる場合は、「悟りに達すること」という意味になります。「パーラミター」を音写したのが「波羅蜜」です。

日本ではこの言葉を「悟りの境地に至る」ということを表すために、「至彼岸」と訳しました。これがお彼岸という言葉の由来とされています。彼岸に対して、私たちが暮らす煩悩に満ちた現世は、「此岸(しがん)」と呼ばれます。

悟りに至るためには、煩悩や迷いに満ちた川を越えなければならない。川を越えた向こう岸に、目指すべき悟りがあるというイメージです。亡くなった人、すでに亡くなっている先祖は「彼岸」にいます。

ではなぜ、春分の日や秋分の日がお彼岸の中日とされたのでしょうか。彼岸は西に、此岸は東にあるとされています。春分と秋分は、太陽が真東から昇って真西に沈む日です。そのため、彼岸と此岸が通じやすくなるので、先祖供養に最適な頃合いとされました。

もともと日本にあった先祖崇拝の考え方と仏教の教えが結びついたものなので、お彼岸に仏教的な行事やお墓参りを行う習慣はインドや中国にはなく、日本独自に発達したものです。

お彼岸にすること

お彼岸にすること

お彼岸の期間は、主に以下の2つに努めましょう。

  • 先祖供養 
  • 6つの修行の実践

お彼岸は、先祖供養に適した時期であるとともに、自分もいつか、迷いのない彼岸を目指したいという願いを強める時期でもあります。そこで、彼岸に至るために行う「六波羅蜜」という6つの修行を実践する時だとされています。

6つの修行とは、施しである「布施(ふせ)」、戒律を守る「持戒(じかい)」、忍耐である「忍辱(にんにく)」、努力を行う「精進(しょうじん)」、精神統一する「禅定(ぜんじょう)」、悟りに至る真理を見極める「智慧(ちえ)」のことです。

具体的には、お彼岸にすることは、以下の3点です。

  • 仏壇・仏具の掃除:普段よりも念入りに掃除をしましょう。先祖供養になると同時に、心が清々しくなり、六波羅蜜の実践にもなります。
  • お墓の掃除とお墓参り:墓石をたわしなどで磨いたり、お墓の周辺の雑草を抜いたり、植木の枝切りをしたりして、きれいに掃除しましょう。その後、お参りをしましょう。お墓参りには祝日や土日に行く人が多いようですが、お彼岸中のいつでも構いません。
    事情によりお墓まで行けない場合は、普段以上に先祖供養の気持ちを持って、仏壇にお供えをして手を合わせるようにしましょう。
  • 彼岸会(ひがんえ)の参加:お寺との付き合いのある方は、彼岸会と呼ばれる法要に参加しましょう。お布施を忘れずに持参します。

お彼岸のお供え物

お彼岸のお供え物に適しているとされるのは、以下の4点です

  • ぼたもちとおはぎ:どちらも同じものですが、春彼岸では春に咲く牡丹の花にちなんで「牡丹餅(ぼたもち)」と呼ばれ、秋彼岸では秋に咲く萩の花にちなんで「御萩(おはぎ)」と呼ばれます。秋に収穫された小豆を使用するため、一般的には、小豆の皮がまだ柔らかい秋彼岸では、皮ごと使ってつぶあんでおはぎを作ります。春には皮が固くなっているので、こしあんです。
  • 故人が好きだった物:先祖に喜んでもらうために、お菓子や果物など、生前に個人が好きだったものをお供えするのもよいでしょう。
  • 精進料理:精進料理は、肉や魚など動物性の食材を使わない料理です。また、植物性の材料の中でも、匂いの強いネギやニンニクなども使いません。精進料理は、主に仏壇にお供えします。精進料理を用意するのが難しければ、ご家庭で食されるのと同じものを出しましょう。お膳の向きは、先祖が召し上がれる向きに配置します。
    本来であれば、7日間お供えします。それが難しいようであれば、彼岸入り、中日、彼岸明けとするか、中日、つまり春分の日もしくは秋分の日のみでも構いません。
  • お花:お供えの花は、白い菊が定番とされてきました。白は神聖な色とされ、きれいな状態であの世へ旅立ってほしいという願いが込められていたためです。ただし、最近では、白い花に限らず、黄色やピンクなどの明るい色の花も使われるようになり、季節の花や、故人が好きだった花などを自由に選ぶ方も多くなってきました。

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