遺体安置の流れや注意点

遺体安置とはどういうこと?

遺体安置(いたいあんち)とは、通夜式または火葬当日を迎えるまでの期間、遺体を保管しておく場所に、亡くなられた方をお寝かせすることです。

法律上、特定の場合を除いて、お亡くなりになってから24時間経過しないと火葬することができません。また、葬儀場や火葬場の空き状況によって、すぐに葬儀や火葬が執り行えないこともあります。

そこで、葬儀や火葬の実施まで、どちらかの場所に亡くなられた方を保管しなければなりません。遺体安置は、どのような葬儀形態を希望されても、基本的に全体の流れの中から省略できない項目ともいえるでしょう。

ご自宅に遺体安置をする際の流れ

ご自宅に遺体安置をする際の流れ

遺体安置の流れは、関連する作法や風習も含めて、宗教宗派、地域、亡くなられた状況などによって変わります。ここでは、病院で亡くなり、ご自宅に遺体安置をする仏式のケースで流れを見てみましょう。

  1. 臨終(お亡くなり)、葬儀社の手配
  2. 儀社の寝台車で病院から遺体搬送
  3. ご自宅に到着
  4. 葬儀社スタッフが安置をする部屋の大きさなどを確認
  5. 安置する部屋の片付け、布団を敷く
  6. 寝台車から葬儀社スタッフが、部屋に敷いた布団にご遺体を移す
  7. ドライアイスなどでご遺体の保全処置がほどこされ、掛布団がかけられる
  8. 枕飾り(お線香を手向ける支度など)の設置

6の寝台車から部屋に敷いた布団にご遺体を移す場面など、遺体安置では状況に応じてご家族にお手伝いを求められる場合があります。

ご自宅に遺体安置ができない場合

ご自宅にご遺体を安置するスペースが無い、近隣の方々には秘密裏に葬儀を進めたいといった理由で、自宅以外の場所での遺体安置を希望する遺族もいます。この場合には、葬儀社や、遺体安置専門施設(遺体安置ホテル)などに遺体安置をしてもらうことが多数です。

仏式の遺体安置では北向きが基本

仏式の遺体安置では、遺体の頭を北の方角に向けて寝かせる慣習があります。これは頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)といって、仏教の開祖であるお釈迦様が亡くなったときに頭を北に、顔を西に向けていたという故事にならったものです。

部屋の構造上、頭を北向きにして安置できないときには、西の方角に向けることもあります。西向きにするのは、前述の「面西」に由来するという説や、仏様のいる西方浄土を信じて祈る気持ちを表しているという説など、諸説あるようです。

枕元にしつらえる枕飾りの支度

亡くなれた方を安置したあと、枕元に「枕飾り」を設置します。枕飾りとは、安置してから葬儀までの間、亡くなれた方を供養するために用いる仮の祭壇です。祭壇といっても、葬儀場に設置するような大きなものではありません。横幅70cm~100cm、高さ25cm~30cmくらいの小さな台のようなものです。

枕飾りの上に用意するものは、宗派や地域によって異なります。比較的多く見られるのは、線香を手向けるための仏具、ろうそくとろうそく立て、花立て(一輪挿し)に樒(しきみ)や菊を生けて、御飯、団子、水を用意する形式です。

遺体安置でご遺族が注意すべきこと

遺体安置でご遺族が注意すべきこと

遺体安置に関してご遺族が注意しておきたいことを下記にまとめます。

  • ご自宅に遺体安置をする場合、部屋の暖房は極力つけないようにし、必要ならば局所的に暖を取れるような電気ストーブを使用するなど、遺体を温めないように注意しましょう。
  • ご自宅に安置する場合、線香、ろうそくといった火の元には特に注意が必要です。夜中でもご遺族は寝ずの番をし、線香とろうそくは絶やさず灯し続ける風習があります。しかし、昨今はご遺族の心身を休め、安全第一と考えて風習としては省略することも珍しくありません。
  • 葬儀社や遺体安置専門施設の利用を希望する際には、利用条件をしっかり確認しましょう。24時間いつでも面会可能なところもありますが、面会時間に制限が設けられているところもあります。また1日あたりいくらかかるのか、利用料金の確認も大切です。

仏壇の扉や神棚封じはどうするのか

遺体安置に関して、仏壇の扉を開けておくのか締めておくのか、神棚封じはどうすればよいのか気にされる方も少なくありません。

まず仏壇の扉については、開けたままにしておくことが基本的に仏教の考え方です。しかし、地域や寺院のしきたりで閉じることを正解とするケースもありますので、葬儀社や寺院に相談することが無難でしょう。

棚封じは、神棚に祀ってあるご神体や祖霊を死の穢れ(けがれ)から守るためにします。神道では死を穢れ(けがれ)ととらえるためです。一般的には半紙を神棚の手前の天井から吊るし、結界を作る方法がとられます。

神道やキリスト教の遺体安置は?

神道では遺体安置において、頭を北向きにするか、部屋の上座に頭部がくるように寝かせることが多いようです。

キリスト教においては、故人をどちらの方角に向けて安置するかに決まりはありません。地域の慣習や教会の案内に従って遺体安置をすることが無難です。

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