遺体搬送の流れや注意点

遺体搬送とは?基礎的知識を紹介

遺体搬送とは?基礎的知識を紹介

遺体搬送(いたいはんそう)とは、亡くなられた方を車両等で特定の場所から特定の場所へとお送りすることです。状況により車両ではなく、船舶や飛行機が利用されるケースもあります。「遺体移送」も同じ意味を示す言葉です。

遺体搬送に使われる車両のことは「寝台車」と呼ばれます。遺体搬送を業務として取り扱うには、貨物自動車運送事業法に基づいて国土交通大臣または地方運輸局長の許可が必要です。葬祭業界に身を置く人たちにとっても違和感を覚える解釈ですが、亡くなった方は法的に「貨物」として搬送されることになります。

ひと昔前までは、寝台車といえば黒や紺のステーションワゴンが主流でした。しかし最近は、外観上一般の乗用車と変わらないミニバンタイプが普及し、色も黒や紺だけでなく、白やグレーなどの車両も見られます。

遺体搬送料金の基本的なルールと目安

遺体搬送料金の基本的なルールと目安

遺体搬送の料金は「車庫~指定場所~搬送先」の合計距離によって算出されるのが一般的です。「葬儀社の車庫から病院までの距離」と「病院からご自宅までの距離」を合算した距離で料金が決まると考えておきましょう。

遺体搬送の料金は、葬儀社ごとに定められています。10kmまでの基本料金が1万2,000円~2万円で、以降10kmごとに2,000円~5,000円が加算される料金設定が目安です。この料金設定目安は各葬儀社が国土交通大臣に届出を行い、受理された数字の実績を元にしています。

遺体搬送料金については、下記の点も覚えておくとよいでしょう。

  • 深夜や早朝の遺体搬送については、1割程度の割増料金が発生する
  • 家族側の事情で車両を待機させる場合、待機時間に応じて留置料金が加算されることがある

その他、遺体搬送で高速道路や有料道路を利用した際には、遺体搬送料金に加えて通行料金の実費分を請求されることが一般的です。

遺体搬送をする場面はいくつかある

遺体搬送をする場面は主に下記の2つです。

  • 病院からご自宅または葬儀社や遺体安置専門施設への遺体搬送
  • ご自宅などの安置場所から、葬儀会場への遺体搬送

葬儀・告別式が終わったあと、葬儀会場から火葬場へも遺体を搬送しますが、この部分については一般的に遺体搬送とは呼びません。料金の請求明細にも「遺体搬送料」や「寝台車料金」といった表記とは別に「霊柩車」として表記されるケースが多いようです。

お亡くなりから遺体搬送までの流れ

お亡くなりから遺体搬送までの流れ

お亡くなりの状況によって遺体搬送までの流れはさまざまです。下記に入院中の病院で亡くなったケースの流れを一例として紹介します。

  1. 臨終(お亡くなり)、家族は死亡診断書を受け取る
  2. 看護師など病棟職員によるエンゼルケア(遺体処置)が実施される
  3. 遺族が葬儀社など遺体搬送業者の手配をする
  4. 遺体搬送業者が病室に到着し、遺体がベッドからストレッチャーに移される
  5. 業者が病室から院内の霊安室にストレッチャーで移動させる
  6. 葬儀社から搬送先などについて、その後の意向を確認される
  7. ストレッチャーごと寝台車(遺体搬送車)に故人を乗せる
  8. 病院職員のお見送りを受けながら病院を出発する

なお、病院ごとに施設環境や院内ルールが異なり、看護師が病院から霊安室までの移動を担当するケース、霊安室がないため病室からそのまま裏口より出発するケースもあります。

病院から遺体搬送する際の注意点

病院から遺体搬送する際の注意点

大切な方が亡くなり、動揺、悲しみ、不安といったさまざまな感情が渦巻く中で、家族は遺体搬送の手配をし、病院から安置場所に移動していかなければなりません。特に注意しておきたいのは次の3点です。

  • 病室内の故人が使用していた身の回り品の引き取りを忘れないこと
  • 死亡診断書の受け取り、記載内容の確認をすること
  • 自家用車を運転して寝台車についていく場合には、運転に十分な注意をすること

死亡診断書の内容に誤りがあると、病院に戻って訂正してもらう必要が生じ、死亡届や火葬場許可証の手続きなど一連の流れが滞ってしまいます。出発する前に故人の氏名や生年月日など可能な限り十分な確認をしましょう。

自分で遺体搬送することは可能か?

法律的には、自分の車を用いるなどして故人を搬送することは可能です。ただし、葬儀のプロとしては、自分で遺体搬送することはおすすめしません。

なぜならば、遺体搬送中の出血や体液漏れなど予期せぬトラブル発生時の対応技術、死後硬直を考慮したフラットな床が確保できる車両などが求められるからです。

自分で遺体搬送をしてもよいケースは、亡くなった方が赤ちゃんや幼児といった自分で抱きかかえられるほどの小さなお身体である場合のみと考えてよいでしょう。

海外で亡くなった場合の遺体搬送

海外で亡くなった場合の遺体搬送

出張や旅行など海外で大切な方がお亡くなりになってしまうケースもあるかもしれません。海外で亡くなった方を国内に遺体搬送する際には、国によって死に関する法律や慣習が異なるため、どこで亡くなったのかによって対応は変わってきます。

いずれの場合でも空輸されることが大半ですが、搬送前にエンバーミング(遺体の防腐、保全処置)の実施が必要になることが一般的です。

通常は、亡くなられた国の在外公館と連絡を取り合い、相談をしながら遺体搬送の手続きを進めていくことになります。

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