家族葬の基礎知識

家族葬とは?参列者の範囲

家族葬とは?参列者の範囲

家族葬は葬儀の歴史から見れば、まだまだ新しい葬儀スタイルで、現在のところ明確な定義はありません。

しかし、世間一般的には、おおむね「家族を中心として、親族、友人といった亡くなられた方と近しい関係者のみで営む葬儀スタイル」という解釈が定着しつつある状況です。

参列者の範囲については、家族葬でも「同居していた家族のみ」「同居の家族と、血縁関係の深い親族のみ」「同居の家族、親族、特に故人と親しい交流のあった人」というように色々なケースがあります。

増え続ける家族葬とその背景

従来、一般葬と呼ばれる葬儀スタイルが多数でした。1990年代後半から家族葬という言葉が徐々に使われるようになり、2000年に入ると右肩上がりに家族葬を希望する人が増えています。

家族葬が増え続けている背景には、核家族化、少子化、死亡年齢の高齢化、喪主世代の高齢化、地域コミュニティの変化、宗教感の変化、弔いに対する価値観の変化など様々な要素があるようです。

家族葬の流れはどんな感じ?

家族葬は、従来から執り行われてきた一般葬と流れは基本的に同じです。お亡くなりから精進落としまでのおおまかな流れを、一例として紹介します。

【お亡くなり~葬儀打ち合わせ・準備】

・お亡くなり

・遺体搬送、遺体安置

・葬儀社との打ち合わせ、寺院への連絡

・関係者への連絡、供花の手配等葬儀の準備

【通夜式当日】

・湯灌の儀、納棺式

・通夜式

・通夜ぶるまい

【葬儀・告別式当日】

・葬儀・告別式

・出棺

・火葬、骨上げ

・繰り上げ初七日法要

・精進落とし

家族だけだからという理由で、通夜ぶるまい、精進落としといった食事の席は省略されるケースもあります。

家族葬のメリット

一般葬と比べると、家族葬には次のようなメリットがあります。

  • 家族や親族以外の大勢の参列者の対応をしなくて済む分、心身への負担が軽減でき、また亡くなられた方との最後の時間に専念することができる。
  • 宗教宗派や司祭者(僧侶や牧師といった方々)の考え方に従う必要はあるものの、時間設定など家族や親族の意向を反映した葬儀にしやすい。
  • 参列者数の予測がつきやすいため、見積額と請求額に差が生じにくい。

家族葬のデメリット

家族葬にはメリットがありますが、一方でデメリットを把握しておくことも大切です。

  • 家族葬の後日に、弔問客の対応を都度する状態になることがあり、心身が疲弊するケースがある。
  • 故人と最後のお別れができなかった方から不満が生じ、今後の人間関係にヒビが入ってしまうことがある。
  • 会葬者から受け取る香典額が少なくなることによって、葬儀費用の負担が重たくなることがある。

家族葬にかかる費用の相場

家族葬にかかる費用の全国的な相場は、115万円前後です。この金額には、下記の費用が含まれています。

  1. 葬儀にかかる基本的な費用(遺体搬送、祭壇や棺といった葬祭用品、式場利用費など)
  2. 参列者への御礼や飲食にかかる費用(香典返し、通夜ぶるまい、精進落としなど)
  3. 司祭者に関連する費用(御布施、御車代、御膳料など)

「家族葬=費用が安い」ではない

家族葬を希望する方のなかには、「葬儀代が安く済むから」という理由を挙げる人もいます。しかし、家族葬だからと言っても、最終的に負担する葬儀費用が軽くなるとは限らないという点に注意が必要です。

一般葬であれば、参列者から受け取った香典で、香典返しや飲食費用を除いて残った分を葬儀にかかる基本的な費用や司祭者に関連する費用に回すことができます。これは受け取る香典の数・金額が多ければ多いほど、葬儀費用の実質的な負担分(家計からの出費分)の軽減につながる可能性があるということです。

その点、家族葬では限られた参列者からの香典しか期待できず、かえって一般葬よりも実質的な負担額が多くなってしまうことがあります。

家族葬では香典を辞退するもの?

必ず辞退が必要というわけではありません。「香典は誰からも受け取らない」という場合もあれば、「家族葬に参列した親族からの香典は受け取り、その他の香典は辞退する」という場合もあり、香典の受け取りに関する対応方法、考え方はさまざまです。

家族葬で執り行うという案内のなかで「香典は辞退いたします」という意向が付記されているのを見かけたことがある人もいるかもしれません。香典を辞退するのであれば、はっきりと分かりやすく意思表示することが大切です。

家族葬でも勤務先に連絡は必要か

亡くなった人の勤め先への連絡は必須です。一方、自分が参列者の立場である場合にはケースバイケースで対応を考えます。

たとえば、忌引きを利用するのであれば勤め先に誰が亡くなったのか、忌引きを利用する旨の連絡が必要です。ただし、家族葬であれば、葬儀会場や日取りは必ずしも伝える必要はありません。

一般的には電話で連絡するのがマナーとされていますが、会社によって考え方は異なるかもしれません。会社ごとに形成されている文化、慣習に従うことも重要です。

なお、業務上、緊急事態が発生したときなどのために、携帯電話番号などを伝えて、連絡が取れるようにしておきましょう。

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