弔辞とは 書き方と読み方とマナーについて

弔辞とは

「弔辞」とは、亡くなった方への敬意や思いを込めて、葬儀や告別式などで読み上げられる別れの言葉です。
この言葉は「惜別の辞」や「お別れの手紙」とも呼ばれることもあり、故人を偲び、悲しみや感謝の気持ちを表現しています。
通常は、故人と親交の深かった1〜2人が代表として選ばれ、故人の遺影がある祭壇に向かって、あらかじめ用意された原稿を読み上げます。
葬儀の規模によっては代表者が増えることもあり、弔辞は宗教を問わず、さまざまなタイプの葬儀で行われています。
一方で、家族葬のように規模が小さい場合は、弔辞が省略されることもあります。

弔辞を依頼された場合は、礼儀として基本的には快く引き受けます。
文章は堅苦しくなりすぎず、故人との関係や思い出を踏まえ、参列者が感じやすい形で故人の人柄を偲ばせる内容にすると良いでしょう。
重要なのは、故人への思いを素直な言葉で伝えることです。

弔辞(ちょうじ)のマナーと書き方・注意点について

まず、弔辞を頼まれたら、基本的にはマナーとして引き受けます
話すのが苦手な場合などでも、できるだけ引き受けるよう心掛けましょう。
しかし、本当に困難な状況の場合は、やむを得ず断ることもあります。

葬儀や告別式は厳粛な場なので、適切な態度が求められます。
大まかな流れは、弔辞を読む際に、名前が呼ばれたら祭壇前に出て一礼し原稿を読み上げます。
読み終わったら、原稿をお供えし、故人に再び一礼して席に戻ります。
作成した弔辞は葬儀後に遺族に渡るので、心を込めて作成しましょう。

それでは、弔事についてのマナーや注意点について詳しく解説していきます。

弔辞を書き方とポイント

弔辞には、決まりや定型はありませんが書く際は、敬意と慎み深さをもって、次のような手順とポイントを意識してください。

長さと構成:
弔辞は、ゆっくりと読んで3分から5分程度に収めるのが望ましいです。
これはおよそ800から1200文字に相当します。
内容は「導入」「主題」「結び」の三部構成を心掛けます。
導入では、故人への哀悼の意を表し、主題では故人との思い出や功績を述べ、結びでは遺族に対する哀悼の意を伝え、故人の冥福を祈る言葉で締めくくります。

使うべきでない言葉:
不幸を連想させる言葉、例えば「死」や「切る」、「離れる」といった直接的な表現や、「たびたび」のような重ね言葉は避けます。
これらは、不幸が重なるイメージを連想させたり、死を直接的に表すため不適切です。
代わりに、「逝去」や「他界」、「ご生前」といった言葉を使い、故人を敬う表現を選びましょう。

書式と包み方:
弔辞は、巻紙または奉書紙に薄墨で毛筆、筆ペン、あるいはサインペンを使って縦書きにします。
文の始めに「弔辞」と記し、適切な余白を空けて本文を書き、終わりには日付と記名を忘れずに入れます。
包装は、弔辞が中央にくるように巻紙を折りたたみ、奉書紙で包んで「弔辞」と記名します。
これを祭壇に供え、後で遺族へ手渡す形式を取ります。

これらの点を踏まえつつ、個々の葬儀の状況や故人との関係性を考慮して、故人を偲ぶ心温まる弔辞を作成していきましょう。

弔辞(ちょうじ)を読む際の流れとマナー

実際に弔辞を読む際の流れと立ち振る舞いについて確認していきます。
葬儀・告別式の読経や焼香が一区切りついたタイミングで「弔辞」、その後、弔電紹介という進行が最も一般的です。

一連の流れ

1.葬儀が始まる前に、式場のスタッフに接して、弔辞を読む場所や具体的な流れを確認しましょう。
それぞれの葬儀場で異なることがあるため、事前に知っておくことで落ち着いて立ち振る舞うことが出来ます。

2.式の進行で、あなたの名前が呼ばれたら、まず遺族に向かって一礼し、祭壇の前にゆっくりと進みます。
ここで、宗教によって異なる場合がありますが、キリスト教の葬儀の場合は参列者全員に、それ以外の場合は特に故人に向かって一礼を行います。

弔辞は、本来大判の奉書紙に薄墨で書かれ、「弔辞」と記された紙で包むのが正式ですが、現代では略式も広く用いられています。
この場合、白い一重の封筒に、万年筆やペンで書かれた弔辞を入れます。


3.弔辞を読む際には、左手で封筒を持ち、右手で弔辞を取り出して開きます。

そして、封筒を下に置きながら、故人や遺影に向かって両手で弔辞をしっかりと目の高さで持ち、心を込めてゆっくりと読み上げます。

4.読み上げが終わったら、弔辞を封筒に戻して、遺影に向けて置きます。
5.そしてもう一度、故人と遺族に対して一礼をして、自分の席に戻ります。

本記事では、故人への最後の敬意を表す弔辞の書き方と読み方、その意義について解説しました。故人に対する敬愛と感謝の気持ちを、適切なマナーを守りながら、心からの言葉で伝えることを心がけてください。

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