エンバーミングとは?遺体の最終姿を左右する特殊技術について

エンバーミングは、愛する人が亡くなった後の遺体をどのように扱うか、その選択肢の一つです。
死後の変化は避けられないものですが、エンバーミングを行うことで、遺体の見た目を保つことができ、家族や友人が故人と最後のお別れをする際に心の平穏を得られます。
この記事では、エンバーミングがどのようにして遺体の顔の表情や匂いに影響を与えるのかを詳しく解説します。

エンバーミングとは何か?

エンバーミングとは何か

エンバーミングとは、愛する人が亡くなった後に遺体の見た目を保存し(遺体衛生保全)、腐敗を遅らせる(死体防腐処理)特別な処置です。
この技術は、故人の姿を生前に近い状態で保持することを可能にし、家族や友人が心の準備を整え、適切にお別れをする時間を確保するのに役立ちます。
具体的には、遺体に防腐剤を注入し、内部の消毒と殺菌を行うことで、自然な腐敗プロセスを遅らせます。

エンバーミング、エンゼルケア、湯灌(ゆかん)の違い

エンバーミング:(遺体衛生保全)
エンバーミングは遺体の長期保存と見た目の維持(腐敗防止)を目的とした処置です。
これには化学薬品を使用して遺体を消毒し、防腐剤を注入して内部から腐敗を防ぐ作業が含まれます。
エンバーミングは特に、遺体を長時間展示する必要がある場合や、長距離からの参列者が遺体と対面するまでの保存が必要な場合に行われます。

エンゼルケア:
エンゼルケアは遺体の尊厳を保ちつつ、清潔と見た目の整容感染症の予防感染症の予防を目的としたケアです。
これには遺体の清拭、脱脂綿での穴埋め、適切な衣服の着用、そして化粧が含まれます。
エンゼルケアは遺族が故人との最後のお別れに心の平穏を得られるようにするために行われ、防腐処理は含まれません。

湯灌(ゆかん):
湯灌は、故人の身体を清めるための日本の伝統的な儀式です。
これには故人をお湯で洗うことが含まれ、清められた身体には適切な衣服が着せられ、場合によっては軽い化粧が施されます。
湯灌は家族が参列することが多く、遺体の自然な状態を尊重しつつ、故人との最後の時間を穏やかに過ごすことが目的で、衛生状態の保全、死後硬直を和らげます。

日本におけるエンバーミングの普及について

日本におけるエンバーミングの普及について

エンバーミングとは、遺体を防腐処理し長期間保存可能にする技術です。
この技術はアメリカで広く普及しており、実施率が90%以上に達していますが、日本ではまだ一般的ではありません。

日本での普及状況:

日本においてエンバーミングが導入されたのは1988年で、最初の専用センターが開設されました。
その後、エンバーミングの基準や普及を目的とした団体であるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が1993年に発足されています。
処置年間推移は2015年から2017年の間に9,000件ほど増加しています。
火葬までの時間が短い状況ではエンバーミングを施さなくても死に化粧で十分対応できることもありまずが、日本でも徐々に増加傾向にあります。

日本の火葬文化とエンバーミング:
日本は火葬文化が根付いており、多くの場合死後すぐに火葬が行われます。
そのため、火葬までの時間が短い場合は、エンバーミングが不要とされることもありますが、実施率は年々増加傾向にあります。
近年では納棺師やエンバーマーに対する関心が高まり、エンバーミングを学ぶための学校も設立されています。

エンバーミングのメリット・デメリットについて

エンバーミングのメリット・デメリットについて

エンバーミングのメリット

エンバーミングの処置をするメリットは、以下のとおりです。

長期保存可能:
エンバーミングは遺体を数週間から数ヶ月保持することを可能にし、遠方からの参列者が到着するまで待つことができます。
見た目の維持:
故人の生前の姿に近い状態を保つことができるため、家族にとって心の平穏をもたらします。
ドライアイス不要:
ドライアイスの使用を避けることができるため、遺体の側で長時間過ごすことが可能です。そのため霜や凍結の心配がなく、自然な状態でのお別れができます。
安全性:
感染症のリスクを低減し、安心して遺体に触れることができます。
葬儀の柔軟性:
葬儀の日程をゆっくりと決める余裕を持たせることができます。

エンバーミングのデメリット

高額な費用:
エンバーミングは一般的に高額な処置であり、20~30万円程度の出費が見込まれます。
保険の対象外であるため、すべて自己負担となります。
抵抗感:
遺体にメスを入れる必要があるため、これに抵抗感を持つ人もいます。
遺体を「傷つける」ことに対する感覚的な問題が存在します。
処置の複雑さ:
専門の施設や設備が必要であり、エンバーミングを行う場所が遠い場合は搬送に時間がかかることもあります。
待ち時間:
処置を実施するための準備に時間がかかり、遺体とのすぐの対面が遅れることがあります。
損傷の程度によるコスト増:
故人の遺体の損傷が大きい場合、修復に更に高額な費用が発生することがあります

これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、家族の意向や故人の事前の希望も考慮し判断することが重要です。

エンバーミングに関するよくあるご質問

エンバーミングに関するよくあるご質問

Q.エンバーミングをする方はどのような理由で実施しますか?

A.
主に、以下の4点があげられます。
・生前の姿のままでお見送りたいという家族のご要望
・ご遺体の海外輸送が必要な場合
・火葬までの日数がかかってしまう場合
・感染症のリスクが懸念される場合

Q.エンバーミングを希望する場合の依頼方法を教えてください。

A.
エンバーミングを行いたい場合、詳細を押さえて依頼を進めましょう。
葬儀社選びと相談:
エンバーミングを扱っている葬儀社を選び、希望を明確に伝えてください。
すべての葬儀社がエンバーミングを提供しているわけではないため、事前にそのサービスが利用可能かどうかを確認することが重要です。
必要書類の準備:
エンバーミングを行うためには、死亡診断書(死体検案書)やエンバーミング依頼書(同意書)が必要になります。
これらの書類は、医療機関や葬儀社から取得することができます。
詳細の確認:
エンバーミングのプロセスには、故人に着せる衣類や適用する化粧など、細かな要望が伴うことがあります。
葬儀社との打ち合わせでこれらの詳細を詰め、必要な準備を確認してください。

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