「葬式をしない」という選択:火葬(直葬)のみでのお別れを考えるあなたへ

葬儀にはさまざまな形がありますが、今、多くの方が選ぶのは、伝統的な葬式ではなく、より個人的でシンプルな方法です。
特に、「葬式(葬儀)をしない」「したくない」「しなくて良い」と考える人も増え、「火葬のみ」という選択することで、経済的な負担の軽減、時間や精神的なストレスを減らすこと、そして何より故人の意志を尊重する形として注目されています。
では、火葬(直葬)のみを選ぶとは具体的にどういうことなのでしょうか?
この記事では、火葬のみの葬儀の流れ、メリット・デメリット、費用、そして直葬を選ぶ際の注意点や、実際に直葬を選んだ人々の体験談をご紹介します。
葬式を行わない選択について理解を深め、あなたやあなたの大切な人にとってベストな決断を支援します。

お葬式(葬儀)をしないという選択

お葬式(葬儀)をしないという選択

葬式(葬儀)をしないという選択は、多くの人にとって意識されたことがない選択肢かと思います。
日本の伝統では、故人を見送る際には葬儀を行うのが一般的ですが、法的には葬式の執行は義務付けられていません。
故人が亡くなった際、法律で義務付けられているのは、死亡届の提出(亡の事実を知った日から7日以内)と火葬です。
葬式は個人や家族の自由な選択に委ねられており、行わない選択も全く問題ありません。

葬式(葬儀)を行わない選択の背景

葬式(葬儀)を行わない選択は、さまざまな理由や背景から生まれています。
その根底にあるのは、宗教観の変化、経済的な負担、家族構成の変化、そして故人の遺志など多岐にわたります。

宗教観の変化:
伝統的な葬儀形式へのこだわりが薄れ、僧侶による読経を必須としなくなった家庭が増えています。
また、長期の入院や介護に伴う経済的な負担が大きく、葬儀にかける費用を抑える必要性が生じています。
これにより、費用を大幅に節約できる、お葬式をしない(お通夜、告別式)火葬式(直葬)の選択が増加しています。

家族構成の変化:
核家族化や高齢化の進行により、葬儀へ参列できる人の数が減少しています。
従来の大規模な葬儀に対して、身内のみの少人数で行う家族葬が普及しており、その中でもさらに簡素化した直葬が選ばれることがあります。
故人の友人や知人が高齢化していることもあり、お葬式に招待できる人が少ない、または参列者の負担を考慮しての選択となることがあります。

生活保護を受けている方は、支給される葬祭扶助の範囲内で火葬式を行うことが一般的です。

故人の遺志が尊重されるケース:
「お葬式はしなくてもいい」「火葬だけでいい」といった、生前の希望を実現するために火葬式を選ぶ家族もいます。
故人がシンプルなお別れを望んでいた場合、その意志に沿う形での直葬は、遺族にとっても心の負担を減らす選択となり得ます。

これらの背景を踏まえると、葬式を行わない選択は、経済的な理由や家族の状況、故人の意志など、多様な状況に応じた合理的な選択として理解されます。
葬儀のスタイルは、時代と共に変化し、それぞれの家庭の事情や価値観に合わせた形に進化していると言えます。

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自分のお葬式はいらない・したくないと思う方に必要な準備

自分のお葬式はいらない・したくないと思う方に必要な準備

葬式を行わないという選択は、個人の自由ですが、それには適切な準備が必要です。
特に、周囲への影響を考慮し、遺族が迷惑や批判を受けないよう配慮することが大切です。
遺された人たちの人間関係も考慮し、故人の意思による葬式の不実施が遺族に余計な負担をもたらさないように準備しましょう。

「お葬式をしたくない」という意思を明確に示すこと

現代の葬儀は、故人の意志が尊重されやすくなっているため、しっかりと意思表示がされていれば、希望通りのお別れの形式が実現できます。
この意思は、家族に口頭で伝えるだけでなく、文書に残すことを推奨します。
家族への手紙、エンディングノート、あるいは遺言書などの形で記録し、その存在を家族に知らせておきましょう。

具体的な葬儀形式の指定や手配

お葬式を行わない場合は、火葬式(直葬)と呼ばれる形式を取りますが、これには遺体の搬送、納棺、火葬場の手配などが必要です。
火葬式(直葬)に対応する葬儀社を事前に調べ、費用の見積もりを取り、依頼先を決めておくことを検討してください。
家族とも相談して決定し、生前契約の形で葬儀費用を支払い、葬式をしない意志を伝えるという方法もあります。
生前契約は、自分の望む葬儀を実現したい、他者に負担をかけたくないといった希望がある場合に適しています。

遺言に「葬式をしないように」と記されていた場合(ご遺族側)

遺言に「葬式をしないように」と記されていた場合(ご遺族側)

故人が遺言書に「葬式は必要ない」と記した場合、これは故人の意思として尊重すべきです。
ただし、葬式を行うか否かについての遺言は、法的に強制力を持つものではありません。
遺言書に関する法律では、法的な効力を持つ内容について10項目が定められていますが、葬式の実施に関する指示はそれらのいずれにも含まれていません。
これは、葬式を行うかどうかの最終的な判断は遺族の意思に委ねられていることを意味します。

法律的には無効

遺言書は、故人から家族や親族、友人・知人への最後のメッセージとして残されます。
終活がブームとなり、遺言を遺して亡くなる人が増えている昨今、もし故人が「自分の葬儀はしないで欲しい」という遺言を残していた場合、遺族はその意思をどのように受け止めるべきでしょうか。
法律的な効果を持たせるためには、遺言が法律で定められた形式に則って行われる必要がありますが、「葬式をしない」という内容は、法的な強制力はなく、遺族の判断に委ねられています。

たとえば、「家族仲良く暮らしてください」といった感情的な内容は、法律的な効力はないものの、故人の願いとして大切な遺言です。
一方で、「自分の財産は全て長男に譲る」といった財産に関する事項は法的な問題を含むため、適切な形式で遺言書を作成する必要があります。

故人の遺言に「葬式をしないように」と記されていた場合、遺族は故人の意思を尊重することが重要ですが、最終的な決定は遺族の意向によって決められます。
周囲の意見や状況、故人の意思を尊重しつつ、親族間で十分に話し合い、最善の決定を下すことが求められます。

遺言で法律的な効力を持たせることが出来ること

「法律的な効力を持たせることが出来るもの」は以下の10項目に限定されています。

  • 認知
  • 財産の処分すなわち遺贈と寄付行為
  • 後見人、後見監督人の指定
  • 相続の廃除およびその取消
  • 相続分の指定または指定の委託
  • 遺産分割方法の指定または指定の委託
  • 遺産分割の禁止
  • 相続人相互の担保責任の指定
  • 遺言執行者の指定または指定の委託
  • 遺贈減殺方法の指定

上記以外のことを遺言書に書くのは自由です。
しかし、法律上の効力はありません。
当然、相続人(=遺族)が被相続人(=故人)の遺志を尊重することは可能です。

お葬式(葬儀)をしないという選択肢、火葬式(直葬)について

火葬式(直葬)は、通夜式、告別式を行わないので以下のような流れになります。

火葬式(直葬)流れ

火葬式(直葬)の流れ

1.ご臨終から安置
故人がお亡くなりになられた後、ご自宅や葬儀社の安置施設へ遺体を搬送し、24時間安置します。
これは法律による規定に基づくものです。
2.納棺
故人に死装束を着せ、棺に納めます。
この作業は、ご家族だけで行うことも、葬儀社のスタッフに任せることも可能です。
3.出棺と火葬場への搬送
納棺後、ご家族や葬儀社の担当者が棺を寝台車へ運び、火葬場へ搬送します。
4.火葬
火葬場にて、故人を火葬します。
火葬炉に入る前に、僧侶による数分の読経を行うことも可能です。
5.お骨上げ
火葬後、遺族が遺骨を骨壺に収める儀式を行い、お別れをします。

火葬式(直葬)のメリット・デメリット

火葬式(直葬)のメリット

  • 経済的な負担の軽減
  • 手間と時間の節約
  • 心身の負担の軽減
  • プライベートな弔い(身内だけの静かな別れ)
  • スケジュールの柔軟性

直葬は、費用面でのメリットに加え、手間や時間、心身への負担の軽減など、現代の忙しい生活スタイルにマッチした葬儀形式で、身内だけで故人を送りたい、式を省きたい、無宗教の場合や、お坊さんを呼ぶ必要がない状況にも適しています。

火葬式(直葬)のデメリット

  • 親族の理解を得にくい場合がある
  • 参列を希望する人の不満
  • 菩提寺とのトラブルの可能性
  • お別れの時間の制限(直葬は通夜や告別式を省略するため)
  • 香典収入の減少

これらのデメリットを十分に理解し、直葬を選択する際には、親族や関係者とのコミュニケーションを大切にすることが求められます。

火葬式(直葬)費用相場

一般的な葬儀の費用が平均で約200万円に対して、直葬の平均費用は約20~40万円とされています。
しかし、この金額はあくまで平均であり、葬儀社のプランや必要なサービスによって異なります。

【関連記事】
火葬式(直葬)の費用等、詳細に関しては下記の記事をご確認ください。

「葬式をしない」という選択:火葬式(直葬)に関するよくあるご質問

「葬式をしない」という選択:火葬式(直葬)に関するよくあるご質問

Q.火葬式(直葬)の場合の服装は、一般的な葬儀と違いますか?

A.

火葬式(直葬)の場合も、一般的な葬儀と特に違いはありません。
葬儀に参列する時の一般的な喪服を着用します。
喪服にもシーンによって様々な種類があり、主に「正喪服」「準喪服」「略喪服」に分けられます。
直葬の場合は、正喪服でも構いませんが、準喪服を着用する人がほとんどです。
また、故人を送り出す大切な場面ですから、略喪服は可能な限り避けましょう。

正喪服: 男性は和装やモーニング、女性は和装やブラックフォーマル
準喪服: 男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマル
略喪服: 男性はダークスーツ(黒、紺、グレーなど)、女性はスーツやアンサンブル(黒、紺、グレーなどの地味目な色)

Q.火葬式(直葬)の場合の忌引きは普通の葬儀と同じですか?

A.

火葬式に限らずですが、勤務先には忌引き休暇を申請しなければなりません。
一般的に忌引きの日数は、本人と故人との関係性によって定められています。
日数に関してはお勤め先の、社内規定を確認しましょう。

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