手元供養(てもとくよう)について知っておくべきこと-新しい供養法のメリット・デメリット-

供養の方法は時代とともに変化し、今日では「手元供養」という新しいスタイルが多くの人に選ばれています。
この記事では、「手元供養」について、

  • 手元供養の基本知識
  • メリット、デメリット
  • 手続きの方法

詳しく解説していきます。
手元供養に関心がある方、すでに行っている方、または検討中の方にこの記事がお役に他れば幸いです。

手元供養(てもとくよう)とは何か?

手元供養(てもとくよう)とは何か?

「手元供養」とは故人の遺骨や遺灰を身近な場所で供養する方法です。
しかし、どういったプロセスを経て行うのか、どのような手続きが必要なのか、またどんなメリットやデメリットがあるのか、多くの疑問が存在するかもしれません。
まずは、「手元供養」についての概要を解説していきます。

手元供養(てもとくよう)とは?

手元供養とは、故人の遺骨や遺灰をお墓や納骨堂ではなく、自宅や身近な場所に保管し、日常的に供養する方法です。
この供養スタイルは、伝統的な墓地に埋葬する方法と異なり、故人を常に身近に感じられるという特徴があり、故人との絆を感じながら、自宅で静かに追悼することができる新しい供養の形です。

手元供養には、大きく分けて以下の2つの方法があります。

  • 遺骨や遺灰の全部を自宅で保管する方法。
  • 一部の遺骨や遺灰を自宅で保管し、残りはお墓や納骨堂に納める方法。

遺骨をペンダントなどのアクセサリーに入れて身につけることもできますし、ミニ骨壺やミニ仏壇で小規模に供養することも可能です。
この手元供養の概念は、まだ始まって20年ほどの新しい供養方法で、少子化や高齢化、一人暮らしの増加といった現代の社会背景が、手元供養の普及に寄与しています。

手元供養が選ばれる理由

手元供養は、多様な理由から選ばれています。その主な理由を以下に紹介します。

経済的な負担の軽減:
新たにお墓を建てる際には高額な費用が必要ですが、手元供養ではこのような費用がかかりません。
また、お墓の維持管理費も不要です。

お墓の承継者の問題:
少子化や核家族化により、お墓の継承者がいないという問題もあります。
手元供養なら、そのような心配が不要です。

お墓参りの負担軽減:
遠方にお墓がある場合、お墓参りに頻繁に訪れることが難しいこともあります。
手元供養なら、自宅でいつでも故人を偲ぶことができます。

個人化された供養:
手元供養は、宗派に縛られず、個人の感性や状況に合わせた形で供養を行うことができます。

身近での供養:
手元供養を選ぶ大きな理由は、故人を身近に感じられることです。
家庭内で故人を偲びながら、日々の生活の中で供養することが可能です。

これらの理由から、それぞれの状況に応じた、より個人的で感情的な繋がりを重視する供養方法として、手元供養は多くの人々に選ばれはじめています。

手元供養(てもとくよう)の種類と注意点

手元供養(てもとくよう)の種類と注意点

手元供養の種類とその特徴

手元供養とは、故人の遺骨や遺灰を自宅で保管し供養する方法で、大きく「全骨安置」「分骨安置」の二つに分けられます。
それぞれの特徴を解説します。

全骨安置

定義: 故人の遺骨をすべて手元で保管する方法です。
保管方法: 骨壺にそのまま保管するか、粉骨して小さい容器に入れることが可能です。
注意点: 粉骨する場合、体積を減らせますが、それでもある程度のスペースが必要です。適切な保管場所や専用の骨壺を用意する必要があります。

「粉骨」とは遺骨を2mm以下のパウダー状にすることです。

分骨安置

定義: 遺骨の一部を手元で保管し、残りを別の場所に納骨する方法です。
実施方法: 遺骨の一部を小さい骨壺や特別な容器に保管します。
手続き: 所有者や家族間での合意が必要で、場合によっては分骨証明書が必要になることもあります。
どちらの方法を選択するかは、遺族の意向や故人の希望、宗教的信念、または保管スペースなどによって異なります。全骨安置は、故人との絆をより強く感じたいと考える遺族に選ばれやすいですが、スペースの制約が大きいため、実用性の面で分骨安置を選ぶ遺族も多くいます。重要なのは、故人を尊重し、遺族が納得できる形で供養を行うことです。

手元供養を行う際の必要な手続きと注意点について

手元供養を行う際には、法的な観点とマナーを理解することが重要です。
以下に、手元供養を実施する際の具体的な流れと必要な手続きを解説します。

法的な規制と制限の理解

「墓地、埋葬等に関する法律」により、埋葬や焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行ってはならないと定められています。
手元供養では、遺骨を自宅の仏壇や専用スペースに安置することが一般的です。
自宅の庭などにお墓を作ることは法律違反にあたります。

分骨時の手続き (分骨証明書や火葬証明書(分骨用))について

分骨を行う際には、「分骨証明書」や「火葬証明書(分骨用)」が必要になることがあります。
これらの証明書は、火葬を行った火葬場や墓地管理者から発行されます。
将来的にお墓や納骨堂へ納骨する予定がある場合は、「埋葬許可証」が必要になります。
この証明書は、遺骨を納骨する市区町村で発行してもらいます。

マナーの遵守

お墓から遺骨を取り出す際には閉眼供養、戻す際には開眼供養の儀式を行うことが慣習です。
勝手に遺骨を取り出すことは避け、納骨所の管理者と相談して進めましょう。

家族や親族の理解を得ること

手元供養は比較的新しい供養の形式であるため、全ての家族や親族がこれを理解しているとは限りません。
特に、伝統的な墓地埋葬の概念に慣れ親しんでいる年配の方々は、手元供養に対して抵抗を感じる場合があります。
手元供養を検討する際は、将来的なトラブルを避けるために、家族や親族と十分に話し合い、共通の理解を得ることが重要です。

適切な保管場所の選定

高温多湿の環境はカビの発生につながるため、遺骨を保管する際には適切な場所を選ぶことが重要です。
風通しがよく、直射日光が当たらない場所を選びましょう。
保管容器に関しても、適切に密閉できるタイプを選び、遺骨の安全を確保することが推奨されます。

紛失や破損のリスクに注意

アクセサリータイプの手元供養品は特に紛失や破損のリスクがあります。
携帯している間に失くす可能性があるため、常に慎重に取り扱う必要があります。
自宅保管の場合でも、災害や事故により遺骨が失われる可能性があることを認識しておきましょう。

手元供養の間の保管

分骨して手元供養を行う間は特別な書類は必要ありませんが、後に納骨するために必要な書類を準備し、保管しておくことが望ましいです。
複数人で分骨する場合は、各人に適切な書類を用意しましょう。

このように、手元供養を行う際には適切な法的手続きを理解し、宗教的、文化的なマナーを尊重することが大切です。
また、分骨する際には家族や親族間の合意は最も重要になりますので、事前の相談と理解を得ることを忘れないでください。

手元供養(てもとくよう)の種類と費用

手元供養(てもとくよう)の種類と費用

手元供養にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる費用がかかります。
ここでは、代表的な手元供養の種類とその費用について解説していきます。

骨壺タイプ:(5,000円~数万円程度が目安・デザイン素材に寄り数十万円の高級品も)

手元供養にはさまざまな種類があり、それぞれに異なる費用がかかります。
ここでは、代表的な手元供養の種類とその費用について解説していきます。

アクセサリータイプ:(数千円~数十万円と幅あり)

骨をペンダントや指輪などのアクセサリーに納めるタイプの手元供養も人気です。
アクセサリーの素材やデザインにより価格は大きく異なり、ステンレス製やガラス製のものは比較的リーズナブルです。
一方で、貴金属や宝石を使用した高級なアクセサリーは、それに応じて高価になります。

プレートタイプ:(10万円~30万円程度)

遺骨を粉状にして金属などに混ぜてプレート状に加工するタイプもあります。
これらは遺骨プレートやエターナルプレートとも呼ばれます。
プレートの大きさ、材質、デザイン、加工の複雑さによって価格が異なります。
故人の名前や生没年を刻むこともできます。

その他(ぬいぐるみや花器など、インテリアなど)

ぬいぐるみや花器など、インテリアとしても使用できる手元供養品も増えています。
これらは見た目には遺骨を保管しているとは分かりにくいデザインが特徴です。
価格は製品の種類やデザインにより異なりますが、一般的なものは数千円から数万円程度で購入できます。

これらの手元供養の種類を選ぶ際には、予算だけでなく、故人への思いやライフスタイル、保管場所なども考慮することが大切です。

手元供養(てもとくよう)のメリット・デメリット

手元供養(てもとくよう)のメリット・デメリット

手元供養には、いくつかのメリットとデメリットがあります。
この供養方法を選ぶ際には、以下の点を理解し、慎重に検討してください。

手元供養のメリット

故人を身近に感じられる:
手元供養をすることで、故人がいつもそばにいるような感覚を得られます。
これは、特にお墓参りが難しい人にとって大きな心の支えになります。

経済的負担が軽減:
お墓の購入や管理に比べて、手元供養は費用が抑えられる傾向があります。
経済的な理由でお墓を建てるのが難しい人にとって大きなメリットです。

ライフスタイルに合わせやすい:
手元供養はスペースを取らず、様々なライフスタイルに合わせやすいため、現代の多様な住環境に適しています。

手元供養のデメリット

家族や親族からの反対:
手元供養は比較的新しい概念であり、伝統的な供養方法を好む家族や親族から反対されることがあります。

紛失や破損のリスク:
特にアクセサリータイプの手元供養品は、紛失や破損のリスクが伴います。
心の中で大切にしている故人の記憶を象徴するものを失うことにもつながるため、慎重な管理が必要です。

将来の管理の課題:
手元供養の担い手が高齢化したり、管理が困難になった場合、遺骨の扱いについて新たな計画を立てる必要があります。
特に一人暮らしの高齢者にとって重要な検討事項です。

保管環境に注意が必要:
骨壺のカビなど、適切な保管環境を確保する必要があります。
適切な温度や湿度の管理が必要です。

手元供養を選択する際には、これらのメリットとデメリットを十分に考慮し、家族や親族とのコミュニケーションを通じて、適切な選択をすることが大切です。
また、将来的な管理や供養の継続についても、しっかりと計画を立てておくこと理解しておきましょう。

手元供養で残った遺骨の供養方法

手元供養で残った遺骨の供養方法

手元供養では一部の遺骨を保持し、残りの遺骨の供養には以下のような方法があります。
これらの方法は、故人の意向や家族の事情に応じて選択されます。

お墓への納骨

一般的な方法:
既に存在する家族のお墓に残りの遺骨を納骨します。特に伝統的な供養方法を好む家族に適しています。
納骨堂の利用:
お墓が遠方にある場合や新たにお墓を建てることが難しい場合には、納骨堂が選択肢となります。

海や山への散骨

自然への還元:
特定の場所に思い出がある場合や、故人の遺志により自然に還す方法として散骨を選ぶことがあります。
法的な規制の確認:
散骨する場所によっては自治体の規制があるため、事前に確認が必要です。

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樹木葬

自然と共に供養:
樹木葬は遺骨を特定の樹木の根元に埋葬し、自然の一部として供養します。
継承者不要の選択:
樹木葬は永代供養の形式の一つであり、後継者の不在による負担が少ない供養方法です。

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永代供養墓や納骨堂への納骨

幅広い選択肢:
永代供養墓や納骨堂は、特定の宗教に縛られずに利用できる場合が多く、経済的な負担も比較的少なくすみます。
手元供養との併用:
手元供養をしながら、残った遺骨を永代供養墓などに納骨することで、感情的な安心感と経済的な利点を両立させることが可能です。

各供養方法には、それぞれの家族の事情や故人の意志に合わせて選ばれるべきメリットと注意点が存在します。
供養方法の選択にあたっては、家族や関係者との十分な話し合いをもつことを心がけてください。
また、散骨や樹木葬のような特殊な供養方法を選ぶ際には、事前に必要な手続きや法的な規制について確認し、故人にふさわしい尊厳ある供養を心がけることが肝要です。

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