棺に入れるもの・入れてはいけないもの :愛する人を送るための副葬品選び

納棺の儀式は、私たちが最愛の人をこの世から送り出す最後の瞬間です。
この時、棺に入れるものを選ぶことは、故人への深い愛情と敬意を表現する行為です。
しかし、初めて経験する方にとっては、「何を入れたら故人に喜ばれるのか」「何を入れてはいけないのか」が明確でない場合が多く、悩ましい瞬間となることでしょう。
お金、手紙、食べ物、お守り、故人との思い出深い品や、故人への最後のメッセージなどをどのように形にするかは、多くの人が抱える共通の悩みです。

この記事では、故人が愛したアイテムや、そのアイテムに込められた意味、そして棺に入れることが適さないアイテムについて、分かりやすく解説します。
あなたが故人との最後の時間を大切にし、心を込めて副葬品を選べるよう、この記事がお役に立てれば幸いです。

棺に入れるもの「副葬品(ふくそうひん)」について

棺に入れるもの「副葬品(ふくそうひん)」について

納棺の儀式は、故人との最後の別れを象徴する大切な時です。
この時に故人とともに棺に入れる品々を「副葬品」といいます。
副葬品は、故人の魂を慰め、あの世の旅の供え物とされています。
副葬品を選ぶ際は、故人の好み、生前の興味や関心事、そして遺族の想いが反映されるものが選ばれます。
しかし、すべてのものが棺に入れられるわけではありません。
火葬の過程で問題を起こさない、そして故人に対する敬意を表する品物選びが求められます。

棺に入れられるもの

手紙や寄せ書き:
故人への未だ伝えられていない言葉、感謝の思いを書き残し、直接的な愛情表現として最適です。
棺に入れる際は、顔まわりや手元に入れるとよいでしょう。

お気に入りの服:
故人が生前愛用していた衣類は、故人の個性や好みを反映させることが出来ます。
生前気に入っていた服を、布団の上から掛けてあげましょう。

※化学繊維でできた衣服は燃やすと公害の発生源となってしまうため、棺には入れられない場合があります。

故人の写真:
故人の幸せな瞬間を捉えた写真は、遺族にとっても故人にとっても価値ある記念品です。
遺族で選んだ故人の写真を入れることもあります。
悲しみにくれる中、遺族で故人の写真を見返す時間は、心に安らぎと落ち着きを与えてくれます。

※故人の遺影と同じ写真を入れることは避けましょう。

御朱印帳やお遍路グッズ:
故人の信仰や趣味を尊重し、生前の活動を讃える品です。
お寺を参拝して集めた御朱印を棺に入れると、あの世で幸せになれるという考えもあるため、見つかるようであれば、ぜひ用意してあげましょう。

お菓子や食べ物:
故人の好物を象徴的に入れることで、最後のお別れの時に故人に対する愛情を表現しますが、火葬のプロセスを考慮して小さく、水分の少ないものを選びましょう。
お菓子は缶や瓶、プラスチックの包装から中身を取り出し、紙に包み少量入れるのが一般的です。
水分が多い果物は、スムーズな火葬を妨げます。
果物を一口サイズに切って、ティッシュなどに包みいれましょう。

その他:
故人の好きなお花、思い出の品(ポストカードなど)、折り紙(参列者や関係者が折ったもの)、紙カップに入れたお酒、など

棺に入れられないもの

ペースメーカーや体内に埋め込まれた医療器具:
これらは非常に重要な例外であり、特にペースメーカーは火葬炉内で爆発の危険があります。
故人がペースメーカーやその他の医療器具を体内に装着していた場合は、火葬前に医療機関で取り外すか、適切な手続きを葬儀社や火葬場に必ず伝えてください。

金属製・ガラス製・プラスチック製の品物:
火葬時に問題を起こす恐れがあり、環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
〔例〕メガネや腕時計、アクセサリー、万年筆など

革製品やビニール製品:
燃焼時に有害なガスを発生させる可能性があるため避けましょう。
〔例〕革靴やベルト、バッグなど

水分を多く含む食品:
火葬の効率を下げるため、スムーズな火葬の妨げとなります。

大量の物品:
大量の物品は火葬プロセスを妨げ、火葬炉に負担をかける可能性があります。

副葬品を選ぶ際は、故人への最後の敬意と愛情を込めて、心からの品物を選びましょう。
しかし、選択する際には火葬のプロセスを考慮し、故人だけでなく、環境にも配慮した選択が求められます。

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棺に入れるものを選択する際の注意点

棺に入れるものを選択する際の注意点

棺に入れるものを選ぶ際には、葬儀のマナー、火葬場のルール、そして環境への配慮も重要になります。
棺に入れる品ひとつひとつが、故人への最後のメッセージとなるため、ここでは棺に入れるものを選択する際の注意点を具体的に説明します。

故人との関連性を考慮する:
棺に入れるものは、故人の人生や趣味、好みに深く関連したものを選びましょう。
これは故人への最後の敬意の表れであり、遺族にとっても大切な思い出となります。

環境への影響を考える:
分厚い書籍やプラスチック、金属製品などは火葬時に環境への影響が大きいため、避けるべきです。
燃えやすく、かつ環境に負担をかけない素材のものを選びましょう。

存命中の人物が写った写真は避ける:
故人と共に写っている家族や友人の写真を棺に入れる際には、迷信や文化的なタブーを尊重して、生きている人が写った写真は避けるようにしましょう。

火葬場のルールを確認する:
火葬場によっては特定の物品の持ち込みを禁止している場合があります。
棺に入れるものが火葬場のルールに適合しているか事前に確認し、必要に応じて許可を取ることが重要です。

葬儀社に相談する:
もし棺に入れて良いものか判断に迷う場合は、葬儀社に相談するのが最適です。
葬儀社は豊富な経験を持ち、適切なアドバイスを提供してくれます。

分厚い書籍やアルバムの扱い:
故人が愛読していた本や写真アルバムを入れたい場合でも、そのままでは火葬の際に問題を引き起こす可能性があります。
可能であれば、象徴的なページや写真を選んで、コンパクトにするか、火葬場の規則に従ってください。

故人を送るこの大切な時において、棺に入れるものは故人への最後の贈り物となります。
これらの注意点を心に留めつつ、適切な副葬品選びをしましょう。

副葬品に関するよくあるご質問

副葬品に関するよくあるご質問

Q.ぬいぐるみは棺に入れても大丈夫ですか?

A.

ぬいぐるみは、特に子供やペットが亡くなった際に、故人との思い出の品として棺に入れたいと考える方が多い品ですが、棺に入れる際にはいくつか注意すべき点があります。
ぬいぐるみの材質:
天然素材で作られたぬいぐるみは一般に問題なく火葬することができますが、低反発素材やプラスチック、金属などの特殊な素材を使用しているぬいぐるみ、または機械を内蔵しているぬいぐるみは避けるべきです。
これらの材質は、火葬時に遺骨に付着したり、火葬炉を損傷させたりする可能性があります。
特に、低反発素材は燃焼時に有害なガスを発生させる恐れがあり、火葬炉の故障の原因にもなり得ます。
また、内蔵されている機械類は完全に燃え尽きずに残ることがあり、処分に際して問題を引き起こす可能性があります。

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