病院で亡くなった場合の遺族に必要な手続きのながれと注意点

病院で愛する人が亡くなった時、遺族には突然多くの責任と手続きが発生します。
この深い悲しみの中でも、通夜や葬儀の準備といった多くの事務的な手続きを行わなければなりません。
特に病院での死亡が発生した場合、病院の規則に従って迅速な行動が求められます。

本記事では、病院で大切な人が亡くなった場合の、直後の手続きから通夜や葬儀に至るまでのプロセスを解説します。
病院での死亡確認後の初期対応、遺体の搬送や安置方法、必要な書類の準備、そして葬儀社との連絡方法など、ご遺族が知っておくべき重要な情報を網羅しています。
この情報は、突然の事態に直面した際に役立つことでしょう。適切な対応を理解し、心の準備をしておくことで、愛する人への最後のお別れを尊厳あるものにすることができます。
このページを読むことが心理的に困難な場合は、家族や親しい友人に読んでもらい、準備と対応の手助けをしてもらうことをお勧めします。

病院で亡くなったときに行う手続きと流れ

病院で亡くなったときに行う手続きと流れ

病院で大切な人が亡くなった場合、遺族が行うべき手続きとながれは以下のようになります。

1.医師による死亡宣告

医師が心停止や呼吸停止、脳機能の停止を確認し、死亡を宣告します。

2.末期の水の儀式

仏教の場合、遺族や親族は故人の唇に水を含ませる「末期の水(まつごのみず)」という儀式を行います。
この儀式は、故人の生き返りを願う意味や、死後の世界で喉が渇かないようにとの思いが込められています。

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3.エンゼルケアの実施

看護師が故人の体を清拭したり、傷跡や闘病の跡を目立たないようにカバーするなどの処置を施します。

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4.葬儀社への連絡と遺体の搬送手配

病院内で長く遺体を安置することができないため、遺族は速やかに葬儀社へ搬送を依頼します。
自宅安置の場合は、搬送後に葬儀を依頼する葬儀社を選びますが、搬送料が別途かかることに注意が必要です。

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5.親族への訃報連絡

葬儀会社への連絡と並行して、親族へ訃報を伝えます。
葬儀の日程や場所が未定でも、早めに連絡をすることが重要です。

6.死亡診断書の受け取り

医師から死亡診断書を受け取ります。
死亡届の提出や保険金請求時に必要となるため、複数部の作成を依頼することを推奨します。

死亡診断書は、居住する自治体の役場で死亡届の手続きをする際に必要な書類です。死亡届は亡くなってから7日以内に手続きを行わなければなりません。火葬許可証の発行には死亡届が必要です。

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これらの手続きは、大切な人を失った悲しみの中で行う必要があるため、事前に知っておくことが、負担を軽減する手助けになります。
また、病院での手続きや流れは病院の規定によって異なる場合があるため、病院に確認しながらすすめましょう。

遺体の搬送先の決定や葬儀社の手配

遺体の搬送先の決定や葬儀社の手配

霊安室への一時安置:
病院では、エンゼルケアなどの処置が終了した後、遺体は一時的に霊安室に移動され安置されます。
霊安室に遺体を安置できる時間は病院によって異なり、通常は限られています。
このため、遺族は迅速に次の手配を進める必要があります。

遺体の搬送先の決定:
以前は自宅へ遺体を連れ帰ることが一般的でしたが、現在では住宅事情や個々の状況に応じて、葬儀場の安置室などへ直接搬送することも多くなっています。
自宅安置の場合は、遺体の保管方法やドライアイスの手配など、特別な準備が必要です。

葬儀社の選定と手配:
葬儀社がまだ決まっていない場合は、病院から葬儀社を紹介してもらうことも可能ですが、必ずしもその葬儀社を利用する必要はありません。
自宅安置が可能な場合は、搬送のみを葬儀社に依頼し、その後別の葬儀社で葬儀を行うこともできます。
選定する際には、サービス内容や費用などを比較検討し、遺族の希望に合った葬儀社を選ぶことが重要です。

退院手続き:
搬送の手続きを済ませたら、搬送車が病院に到着するまでのあいだに退院手続きを済ませます。
病院側で手続きを進めてくれるので、用意された書類に必要事項を書き込みます。
医療費や入院費の支払いは後日となることが一般的ですが、対応は病院によって異なるので確認が必要です。

退院手続きが終わると、搬送車にあわせて遺体安置所に移動します。
故人が入院していた場合は、病室の荷物もまとめておきましょう。

搬送手続きの進行:
遺体の搬送先と葬儀社が決まったら、葬儀社に連絡し搬送の手配を行います。
葬儀社の担当者は病院まで迎えに来てくれ、遺体を指定された安置先まで搬送します。

この過程で、感情的な負担が大きいことは避けられませんが、事前に流れを知っておくことでスムーズに手続きを進めることが可能になります。
また、手続きに関する疑問や不安がある場合は、葬儀社や病院のスタッフに相談しましょう。

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病院からご遺体の搬送後・葬儀当日まで

病院からご遺体の搬送後・葬儀当日まで

病院で亡くなった場合、ご遺体の搬送後から葬儀当日までの間に遺族が行うべき手続きや準備は多岐にわたります。
この重要な期間に遺族が取るべきステップを紹介します。

遺体の安置と枕飾り :
病院から搬送された遺体は、自宅や葬儀場などの安置場所に安置されます。
仏教の場合、故人の枕元には白木の台、香炉、線香、ろうそく、花などを供えた枕飾りが整えられます。
この枕飾りは通夜までの間、弔問客が手を合わせたり、故人の魂を供養したりするための場所として重要です。

葬儀の日程と会場の決定:
まずは葬儀会社との打ち合わせを行い、葬儀の日程と会場を決定します。
ここでは、遺族や親族の都合や菩提寺の都合、火葬場の空き状況などを考慮し、日程を決めます。

菩提寺への連絡:
仏教徒の場合、菩提寺への連絡が必要です。葬儀日程が決まったら、菩提寺に連絡して枕経の読誦を依頼します。

訃報の伝達:
葬儀の日程と会場が決まり次第、親族、友人、知人、故人の職場などに訃報を伝えます。家族葬を希望する場合は、参列を希望する人だけに限定して伝えます。

湯灌・納棺:
葬儀の前には湯灌(遺体の清め)と納棺(遺体を棺に納める儀式)が行われます。
これは故人の旅支度をすると同時に、遺族が心の整理をつけるための重要な儀式です。

これらの手続きは、故人を敬うとともに遺族が故人との最後のお別れを精神的に準備するために重要な事柄です。
心情的には非常に困難な時期ですが、これらのステップを踏むことで、故人を敬意をもって送り出すことができます。
必要に応じて、葬儀社などのサポートを受けることも大切です。

病院で亡くなった後に遺族がするべき手続きと注意点

病院で亡くなった後に遺族がするべき手続きと注意点

病院で亡くなった後、遺族が行うべき手続きに故人の死後すぐに行う必要があるものもあり、特に病院での死亡が確認された場合、いくつかの特有の手続きが必要になります。

医療費の支払いと高額医療費還付請求:
病院での死亡の際、医療費の支払いが必要です。
また、1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、高額医療費の還付請求が可能です。
故人が加入していた保険組合に申請し、期限内(2年間)に行う必要があります。

行政手続き:
故人の死後にはいくつかの行政手続きが必要です。
これには死亡届の提出(7日以内)、年金受給の停止手続き(14日以内)、保険証や運転免許証、パスポートの返却などが含まれます。
これらは各所轄の事務所にて行う必要があります。

個人名義の契約解約:
故人名義の契約(電話、インターネット、各種サービス等)の解約も、速やかに行う必要があります。

火葬・埋葬許可の取得:
火葬や埋葬を行うためには、自治体からの死亡届の提出が必要です。
葬儀前までに行います。

預貯金の処理:
故人の口座は死亡後、凍結されることがあります。
故人の預貯金で医療費や葬儀代を支払う場合、事前に必要な金額を引き出しておくことが推奨されます。

遺産相続の手続き:
遺産相続に関しては特に急ぐ必要はありませんが、相続税の納付や相続放棄を行いたい場合は期限が設けられています。
財産や相続人が多い場合は、法律の専門家に相談することが推奨されます。

行政手続きに関する疑問や不安がある場合は、適切なアドバイスを得るために市区町村役場や専門家に相談しましょう。

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