遺骨の処分は、大切な人を見送った後に残された遺族が直面する、重要な決断の1つです。お墓を持たない選択が広がる中で、「どのように遺骨を扱えばいいのか」「法律上の問題はないか」「後悔しない方法はあるのか」など不安を抱える方も少なくありません。
本記事では、遺骨の処分に関する様々なケースや対応法、具体的な処分方法、費用相場、法的な注意点などをわかりやすく解説します。遺骨の扱いに迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
遺骨の処分は、遺族が直面する重要な決断の1つです。この選択には、故人の意志や遺族の思い、社会的・文化的な慣習、さらには法的な要素も大きく関わってきます。適切な方法を選ぶことは、遺族の心の平穏を保つうえでも大切です。
以下では、遺骨の処分に関する様々なケースを取り上げ、それぞれの方法や関連する法的な観点を詳しく解説します。
既存のお墓の納骨室が満杯になった場合は、古い遺骨を土に埋めたり、砕いて骨壺にまとめ直したりするなどして、納骨スペースを確保する必要があります。
墓じまい(お墓を撤去・処分すること)を行う際には、遺骨を合祀墓に移すか、新たに納骨する寺院や霊園の永代供養墓へ移動させる方法が一般的です。
遺骨を移動させる手続きでは、改葬許可証※1の取得や、関連する行政手続きが必要です。
※1 改葬許可証:お墓から遺骨を出す時と、新たな場所に遺骨を納める時に必要
お墓がない場合や無縁仏の遺骨は、合祀墓への埋葬や散骨が考えられます。
特に散骨は、海や山など自然へ遺骨を還す方法として利用されますが、自治体の条例によっては散骨が制限されていることもあるため、必ず事前に確認を行いましょう。
納骨堂での遺骨の安置にはスペースに制限があるため、いずれ遺骨の処分方法を検討する場面も想定されます。特に納骨堂やカロート※2が収容限度に達した際に発生します。
※2お墓の中で遺骨を納めるスペースのこと。お墓の下に設置されており、御影石の重たい石(拝石)によってフタがされている。
粉骨と再納骨:
遺骨を細かく砕いて小さな骨壺や袋に再納骨し、スペースを効率的に使う方法です。
自然への還元:
散骨や樹木葬などの自然葬を通じて、遺骨を自然に還す方法です。
合祀墓への移動:
一定期間経過した遺骨を複数合わせて合祀墓に埋葬する場合もあります。永代供養墓を利用する場合によく見られる方法です。
遺骨の処分方法は複数あり、どの方法を選ぶかは、故人への敬意や遺族の思い、そして法的な要件を踏まえて慎重に判断しなくてはなりません。
以降、遺骨の処分方法を詳しく紹介します。各方法に特徴や注意点、必要な手続きがあるため、遺族の事情や希望に合わせて最適な選択をしましょう。
遺骨を残さず遺灰になるまで焼いて、火葬場や葬儀社が処分します。全ての火葬場が焼き切りに対応しているわけではないので、事前の確認が必要です。
また、遺骨の引き取りに関するルールが自治体の条例で定められているため、火葬前に斎場を管理している役所の部署へ連絡して確認しましょう。
お寺や霊園が遺族に代わって永続的に遺骨を管理する方法です。一度の永代供養料で維持管理費は発生しません。供養墓が設けられているため、お参りも可能です。お布施を準備すれば法要を執り行えるところもあります。
樹木を墓石の代わりにして遺骨を埋葬します。法的に許可された場所で行われ、遺族に代わって遺骨の管理を行います。永代供養と同様に、お墓の継承者がいない場合でも安心して納骨できます。
納骨室の容量を超えた場合、古い遺骨を粉骨して土に埋める方法です。納骨室の下がコンクリートで埋められない時は、粉骨して1つの骨壺にまとめる方法もあります。
個人で散骨を行う場合、どこでも自由に散骨できるわけではなく、自治体の条例を守るのが大前提です。
散骨が可能な場所は、以下の通りです。
場所 | 条件 |
海(沖合) | 沖に出て、周囲に人がいない場所で行うのが基本 |
他人の私有地や国有地 | 所有者や管理者の許可を得る必要がある 観光地や水源に近い場所は避ける |
自分の所有地 | 他人の許可が必要ではないものの、近隣住民の理解を得ておくことが望ましい 水源から離れている場所に限られる |
家族の土地 | 名義人が自分でない場合、必ず所有者から明確な許可を得る必要がある 水源から離れている場所に限られる |
散骨を行う際には、遺骨とわからないよう粉末化(パウダー状)にしなければなりません。さらに、自治体によっては散骨を禁止している場合もあるため、事前に確認が必要です。
なお、所持する土地に散骨を行う場合でも、将来的に土地を手放す可能性があるなら、慎重に判断する必要があります。土へ埋葬する方法を選ぶ際は、墓地埋葬法の規制を受ける可能性があるため、専門家に相談するとよいでしょう。
散骨を安心・確実に行いたい場合は、専門業者に依頼するのがおすすめです。個人で行う場合、場所選びや粉骨処理、地域からの理解、近隣への配慮など多くの手間がかかります。
しかし、専門業者に依頼すれば、粉骨から散骨の実施、証明書の発行まで一括して任せられます。散骨の準備や移動の負担を大きく軽減でき、精神的な安心感も得られるでしょう。
業者が提供する散骨の方法は様々で、希望や状況に応じた選択が可能です。例として、海洋散骨での主な散骨方法を紹介します。
種類 | 特徴 |
委託散骨 | 遺族が乗車せず、業者が代理で散骨を行う スケジュール調整が難しい方に向いている |
合同散骨 | 他の遺族と船を共有し、同じ場で複数名の散骨を行う形式 費用を抑えたい方に適している |
立ち合い散骨 (個別散骨) | 遺族が実際に船に乗り込み、故人を見送る方法 お別れの時間を大切にしたい方におすすめ |
海洋散骨以外にも、山岳散骨、空中散骨、バルーン葬など多様な選択肢が用意されています。場所や形式のカスタマイズに対応したサービスを提供する業者も増えています。遺族間でしっかり相談し、自分たちに合った方法を選びましょう。
遺骨の供養の仕方や海洋散骨を詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
遺骨の処分を行う際は、法律の規定に十分配慮する必要があります。不適切な方法で処分した場合、遺骨遺棄罪に問われるおそれもあるため注意が必要です。遺骨の取り扱いは、法律によって厳格なルールが定められています。
次に遺骨処分に関する主な法的ポイントを詳しく解説します。正しい知識を得たうえで、適切に判断をしてください。
死体、遺骨、遺髪、または棺に納められているものを損壊、遺棄、または窃取した場合、最大3年の拘禁刑が科せられると刑法第190条で定められています。
遺骨を適切に処理しない行為も、この法律の対象となります。
埋葬や焼骨の埋蔵は、墓地以外の場所で行うことが禁止されています。また、火葬は火葬場以外で行ってはならないとされています。
そのため、自宅の庭など墓地以外の場所で遺骨を埋葬する行為は認められていません。ただし、海洋散骨は土に遺骨を埋める行為に該当しないため、「埋葬」とは見なされません。
遺骨の自己処分は可能ですが、時間や労力、精神的な負担が大きく、さらに法的な知識が必要です。思わぬ違法行為につながる可能性もあるため、知識豊富な専門業者への依頼を選択肢に入れることを推奨します。
以下に処分方法の費用相場を紹介します。
火葬後に遺骨を引き取らず、火葬場に遺骨を残す方法は、各自治体の「火葬場条例」で定められています。遺族は通常、火葬場から遺骨を受け取るので、遺骨を受け取らない場合は、事前に火葬場や葬儀社にその旨を伝えておく必要があります。
一部の火葬場では対応していない場合があるため、事前に確認しておきましょう。また、「焼き切り」処理によって遺骨を完全に燃やすオプションもありますが、この方法を提供できる施設は限られているため、利用を検討する場合は事前確認が不可欠です。
費用は無料から6万円程度が相場です。
合祀墓に埋葬する方法は、複数の遺骨を一緒に土中へ埋めて供養します。個別の墓石を建てるよりも費用が安く、お墓の区画購入や個別管理の手間が不要です。
費用相場は5万円から30万円程度です。ただし、合祀墓では後から遺骨を取り出すことはできず、他の遺骨と一緒に納骨される点に抵抗を感じる方もいます。
樹木葬は、遺骨を既存の樹木の下や周辺に埋葬する、または植樹を通じて供養する方法です。これは墓を建てるよりも安価で、お墓の継承者がいない場合の選択肢として近年人気があります。
樹木葬の実施には、各市町村の許可を受けた業者に依頼する必要があり、私有地であっても無許可での埋葬は法律に抵触する恐れがあります。タイプは多様で、山林や霊園、寺院内に草花を植えるガーデニングタイプも含まれます。
納骨堂での永代供養は、霊園や寺院が永続的に管理・供養を行うサービスで、現代の新しい供養形式です。
初期は個別収蔵ですが、3回忌など一定期間後には合祀されることが多いです。個別に収蔵される場合でも、一定期間(3回忌、7回忌、13回忌、33回忌など)を過ぎると、合祀される永代供養墓も多くあります。
費用内訳は
が一般的です。
管理費や法要料が永代供養費に含まれる場合もあるため、詳細は事前に確認が必要です。
遺骨処分を業者へ依頼する場合は、目的や予算に応じてプランを選びましょう。
どの業者に依頼すべきか迷った場合には、葬儀社に相談するのがおすすめです。
遺骨の処分を決める際、「本当にこれでよかったのか」と後悔してしまう方も少なくありません。遺骨の扱いに不安がある場合は、手元供養も有効な選択肢の1つです。手元供養とは、遺骨の一部を自宅に残す方法です。
遺骨ペンダントやミニ骨壷などに遺骨を納めれば、場所を取らずに日常生活の中で自然に故人を偲べます。いつでも手を合わせられる環境は、残された遺族にとって大きな心の支えとなるでしょう。
全ての遺骨を合祀した場合は後から取り出せませんが、手元供養なら、一部だけ自分のもとに残すことが可能です。
「今はまだ決断できないけれど、いずれ供養の場を決めたい」「気持ちの整理がつくまで、しばらく手元に置いておきたい」など、様々な思いに応えてくれるのが手元供養の特徴です。
さがみ典礼の火葬式プランは、通夜や告別式を行わず、火葬のみを行うシンプルな葬儀です。
搬送、ドライアイス、枕飾り、遺影写真、骨壺など、火葬に必要なサービスや物品が一式含まれているため、安心してお任せいただけます。
お墓を持たず火葬後に散骨を行いたい方や、手元に遺骨の一部を残して供養したい方、宗教儀式を省略したい方、費用を抑えながらも丁寧に見送りたい方におすすめです。
遺骨の処分方法には、様々な選択肢が用意されています。それぞれに利点や注意点を理解し、遺族の想いや状況に応じて慎重に考えなくてはなりません。
特にお墓を持たない場合、遺骨の扱いや供養方法に悩む方が少なくないでしょう。そんな不安や迷いに寄り添うのが、さがみ典礼の火葬式プランです。
遺骨の処分や供養に関する悩みは、経験豊富なスタッフが丁寧に相談に応じます。納得のいくかたちで見送るためのお手伝いをするので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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