「あのとき会いにいけばよかった」という後悔も残るのの、息を引き取る瞬間に間に合ったことは救いでした。

久しぶりの再会からしばらく経った頃、父がふと「親父が亡くなったのが82歳のときだったから、自分もそうなるかもしれない」と話しました。そのときはなんとなく聞いていたのですが、なんと本当に82歳で逝ってしまったんです。
最後に父と会ったのは、2024年のゴールデンウィーク。毎日元気に仕事に励んでいると聞いて安心していましたが、それからしばらくして「体調が悪い」という連絡を受けました。それが亡くなる3週間ほど前のことです。私は父の家を訪問しようと打診しましたが、父に拒まれてしまいました。
しかし、亡くなる前日になって父から「来てほしい」と連絡があって。いてもたってもいられず、夜行バスに乗って関東に向かいました。折悪く交通事故があり、予定の到着時刻から大幅に遅れてしまったのですが、意識はないもののまだ心臓が動いている状態で最期の別れができました。
今から思うと、体調が悪いといっていたタイミングで、父の意見を遮ってでも行けばよかったという後悔が残ります。でも、父の命があるうちに駆けつけられたことは本当によかった。後から聞いた話ですが、父が病院に運ばれた際、一度は心臓が止まっていたそうで……。ただ、父は最後の力を振りしぼって再び心臓を動かし、私や姉、親族が集まるまで待っていてくれました。生きている姿を私たちに見せてくれたことに感謝しています。