危篤・臨終・逝去の意味

危篤の状態とは

危篤(きとく)とは「病気や怪我などにより身体の様態が悪化し、死が差し迫っている状態」のことです。危篤と判断を示された場合には、回復する見込みがほぼないことも同時に意味します。

回復の望みは薄く、2日、3日、長くて1週間程度の時間を経て患者は最期の時を迎えることが多数です。なかには危篤の判断を受けたあとに回復することもありますが、まれなケースと考えてよいでしょう。

医学的に危篤の明確な判定基準があるわけでなく、次に挙げる要素をはじめ患者の様態を医師が総合的に見て危篤かどうかの判断をします。

  • 酸素濃度、呼吸の状態
  • 心拍数といった心臓の働き、血圧、体温など生命兆候
  • 肌や爪の色合い
  • 意識レベルの様相
  • 損傷部位からの出血量
  • 炎症反応など血液検査から得られるさまざまな指標

なお、危篤に似た言葉に「重篤(じゅうとく)」があります。重篤は、患者が厳しい状態にあるものの、回復する見込みがある場合に使われる言葉です。

危篤の連絡を受けたら

危篤の連絡を受けたら

患者が危篤と判断されると、死期が迫っている状態であるということで家族の代表者に医療機関(病院、診療所など)から連絡が入ります。医療機関から連絡を受けた家族の代表者は、急ぎ患者のもとへ駆けつけるとともに、他の家族や主だった親族といった方々への連絡もすることが多いでしょう。

連絡する相手は、同居の家族、2親等~3親等以内の親族、特に故人と深い親交のあった友人・知人が基本となります。病室にあまりにも大人数で集まるわけにはいきません。患者の立場で最後に会いたい人は誰か、家族の立場で最後を看取ってもらいたい人は誰か充分に考えながら連絡する相手を決めましょう。

連絡手段は電話が一般的ですが、電話が通じない場合など状況に応じてメールやLINEなどのメッセージアプリを利用することもあります。

下記で連絡すべき内容の主な項目をご確認ください。

  • 自分の氏名、危篤状態の方との関係
  • 危篤状態の方の氏名
  • 危篤の連絡が医療機関からあったこと
  • 医療機関の場所、患者のいる病室番号
    (夜間は昼間と入口が異なるケースもあります。入口に注意が必要な場合には、その旨も伝えます)
  • 連絡を取り合える携帯電話番号など

なお、在宅で危篤となり看取りをする場合には、住居の場所を相手に伝えます。

緊急性を伴うときではありますが、なるべく落ち着いて、自宅の火元や戸締りを確認し、安全にじゅうぶんな配慮をして向かいましょう。

臨終が意味すること

臨終が意味すること

臨終(りんじゅう)とは、人の死に際、人が亡くなることです。死に向かうこと、生命の終着点に至るということとも言えます。

法での解釈において、死の判定は、基本的に医師による次の3点の不可逆的停止の確認が必要です。この死の判定法は、心臓停止によるものと解されています。

  • 呼吸停止
  • 心拍停止
  • 瞳孔散大、対光反射の消失

一方で、昨今は臓器移植法に基づいて「脳死」という死の判定基準も加わるようになりました。

法的に死が確定するのは、医師による死の判定のあと、死亡診断書(または死体検案書)の発行時点です。死亡診断書には、死亡者の氏名や生年月日、死亡日時、死因、死亡した場所などが記載されます。

仏教においては、臨終後最初にあげるお経が「枕経(まくらぎょう)」です。枕経は宗派によって正式名称は異なりますが、臨終作法や臨終諷経などとも言われ、本来は死にいく者の枕元でする作法といわれています。死への恐れや不安を取り除き、仏の道へ導くことを目的としてあげるお経です。

逝去とは尊敬語

逝去とは尊敬語

逝去(せいきょ)とは、死の尊敬語です。臨終が死という終着点に至るまでの過程を表すのであれば、逝去とは死という終着点そのものであるとも言えます。

逝去の「逝」の字は、行くと折るという意味が重なったものです。折った枝のように「もう戻らない」ことを表しています。また、「去」の字は、その場から離れるという意味です。さらに去という字自体に「死にゆく」という意味合いがあります。

このことから、逝去は「死んでもう戻らない(生きかえらない)」ことを表していると考えることができるでしょう。

なお、「逝去」は、尊敬語ですから身内以外の人が使う言葉です。身内は「死去(しきょ)」と表現しましょう。家族が故人の死を家族以外の人に伝える際には「〇〇が死去いたしました」という表現になります。一方、身内以外の人が故人の死を他者に伝える際には「〇〇様が逝去されました」という表現がふさわしいでしょう。

訃報以外にも弔電、弔辞、お悔やみの言葉、挨拶状などでも逝去という言葉はしばしば使われます。逝去と死去の違いは心得ておきたいところです。

なお、逝去よりもさらに上級の尊敬語として「崩御(ほうぎょ)」もあります。逝去と同じように亡くなったことを意味しますが、崩御は天皇、国王といった地位にある人に対して使われる言葉です。

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